まだまだ活用方法がある竹の廃材。ここではバイオマス燃料としての活用法を取り上げる。昨今電力不足、省エネへの興味関心が高くなっている中、竹の廃材が私たちの暮らしに役立つ方法のひとつとなり得ることは、環境保護や本格的なリサイクル社会、エネルギー資源の国産化、自給率向上といった可能性がみえてくる。
燃やすと厄介な竹、課題を乗り越え
実は竹をバイオマス燃料とするには問題があり、燃料として活用することはできなかった。これに活路見出したのが日立製作所で、2017年にその開発に成功したと発表した。参考⇨SmartGridフォーラム
バイオマス燃料とはそもそも何か。それは動植物由来の資源を燃料としたものの総称。
では、竹は燃えないのかというとそうではない。
燃焼する過程で厄介な問題が生じる。その一つは竹に含まれる塩素。これは発電設備を腐食させやすくしてしまう傾向にある。そして竹は燃焼過程でダイオキシンを発生させ、大気汚染や発癌性物質の拡散につながってしまう。
これではクリーンエネルギーどころではなくなり、むしろ有害物質を放出することになる。
このことが壁となっていたため、日立製作所では研究を重ねた。その結果、竹にひと手間加えることで、大気汚染のリスク回避をすることになった。
その方法は極めて単純。
竹には多孔質という特徴を持つことにふれたが、この特徴を利用して、水に浸すことで不要な成分である塩素などを溶かしだすことができるのではないか。
この仮説に基づき、竹を粒径6㎜以下の微粒子に粉砕し、水に浸す事で不要な成分の濃度が軽減し木質バイオマスと同等なものとなることが実証された。
世界初!竹によるバイオマス発電所
このような動向のもと山口県山陽小野田市では、世界初となる竹を燃料とするバイオマス発電所が誕生した。
藤崎電機が施工した出力約2万KW、山陽小野田市バンプーバイオマス発電所がある。
藤崎電機は徳島県にある会社で、H Pに掲げられた経営理念には「私たちは技術を核とし、自然エネルギー発電とエンジニアリングサービスで、地域社会、地球環境、持続可能社会の実現に寄与します。そして、事業活動を通じて、人間成長と経済成長を実現します。」とある。
話を発電所に戻す。2万KWの発電量は、一般的な家庭が3kWの消費量を平均として考えれば約6500世帯分となる。
規模としては小さいものの、竹を活用しての電力供給、本格的なリサイクル社会への移行に大きな弾みとなればという期待が寄せられる。
他にも兵庫県洲本市をはじめ、西日本各地にその計画や建設事例が多くなってきている。
社会的にバイオマス燃料による発電は、まだまだ認識が低いかもしれない。
一方でエネルギー需要の高まりから、原発再稼働への扉が開きつつある。
その最中の今だからこそ、地域にある資源のリサイクルを実現すべく、バイオマス発電にも活用できる竹チップ・パウダーの利活用へのご理解、そして放置竹林への関わり方を考え直す機会としてもらいたい。
筑豊地方でのクリーンエネルギー導入について
筑豊地方では現在、田川市においてバイオマス発電所が計画されている。
こちらは木質バイオマスによる発電施設となっている。
隣の香春町をはじめ筑豊地方の各市町村でも放置竹林の拡大、その管理が問題となっている。
バイオマス発電の事業が好調で、その利益や利便性が地域にとっても高いという声へとつながれば、放置竹林を資源としてみるべきとの志向も生まれるかもしれない。
あらためて身近にある竹林を資源としてとらえてみるべき時にきているのではないだろうか?
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