山ガールという言い回しを耳にしたことのある人も多いだろうが、にわかに低山歩きは人気が定着したレジャー。男女や年齢を問わず、数百メートル級の山を登って余暇を過ごす。以下では、筑豊地方で気軽に楽しめる低山スポットを紹介したい
低山歩きには3つの効果(基礎代謝の活性化、美肌効果、ストレス発散)がある。明確な定義はないようだが、低山とは標高1000m未満の山を意味することが一般的。装備や準備も軽く済ませることから、気軽に親しめ、コスト的にもやさしい。そんな低山歩きを楽しめるスポット、筑豊のどこにあるのでしょう。
剣岳:鞍手町
剣岳、真っ先に思い浮かべるのは富山県の立山連峰にある霊峰だろう。しかし、それは福岡にも存在している。山名の由来は昔の故事にあるようだ。その昔、日本武尊(ヤマトタケル)が熊襲(南九州地方)征伐を終え、都に帰る際に立ち寄った場所との言い伝えがある。草薙剣を手にした日本武尊がこの山の山頂で一休みし、剣を地に刺し四方を眺めた。そんなこともあったかもしれない。
直鞍地域の平野部を四方向に見渡せるこの山、お城もあることで知られる。剣岳城と呼ばれ、小規模ではあるが土塁や堀切が残っている。眺望の良さから見張りや、狼煙台などの役割があったことは想像に難くない。戦乱期には幾度も戦場となった。特に、豊臣秀吉が発した九州征伐の際、黒田官兵衛の指揮の下、麻生氏や宗像氏といった地域の勢力がこの城を攻略。秋月勢を追い払った。
標高は126mと低く初心者にも馴染みやすい低山だが、山頂からは四方を見渡せる。舗装された登山道や階段、東屋など公園として整備されている。平山城から城下を見渡す殿様になったような気分が味わえる。
詳細はコチラ⇒https://yamap.com/activities/1394684
六ヶ岳:鞍手町・宮若市
名称に「六」とあるように、最高峰の旭岳(標高339m)を中心として天冠、羽衣、高祖、崎戸、出穂の6つの峰からなる。登山道はそれぞれの市、町から整備されており、傾斜も比較的緩いため初心者でも馴染みやすい。
宗像大社の祭神である三女神(田心姫:たごりひめ、湍津姫:たぎつひめ、市杵島姫:いちきしまひめ)は、国家安泰、航海安全をつかさどる神様。その神々は、初めこの六ヶ岳に天下り、その後宗像に移り住まれたという伝説がこの六ヶ岳に残る。このことを知る人は少ない。
この伝承にあやかって、六ヶ岳の麓には六嶽神社がある。ここには先ほどの三女神が鎮座し、地域の氏神様として信仰を集めている。また、この神社で奉納される六嶽神楽は、江戸時代に多賀神社の宮司が宮中の舞を直接伝えたというもの。優雅な舞が人々を魅了することで知られる。神々の伝承が残り、その神霊のご加護をあやかれるパワースポット。山頂からの眺望を楽しんだ後は、六嶽神楽を鑑賞し御利益をいただけるかも。
詳細はコチラ⇒https://yamap.com/activities/5331459
尺岳:直方市
竜王峡から渓谷と尾根の続く景観を楽しみながら登山道を登っていくと、たどり着くのが標高608mの尺岳。北九州市と直方市の境にあり、日本武尊(ヤマトタケル)が山頂の大岩と背比べした際、1尺だけ足りなかったことに山名の由来がある。
標高からみても低山歩きというよりはやや上級者向けとなる。急峻な道となることが多く、かつ片道2時間程度を目安するなど、健脚向け。山頂から開けた北九州方面の眺望は、条件さえよければ響灘まで見通せる。もちろん、直方、飯塚方面への眺望もここしか見れないものとなっている。
詳細はコチラ⇒https://yamap.com/activities/5375554
犬鳴山:宮若市
犬が越えるのも悲鳴を上げる山、これが犬鳴山の由来。標高は583mと低山でもやや高めだが、低山としての知名度よりホラースポットとして話題になることが多い。この知名度をもとに映画「犬鳴村」(東宝配給)が2020年公開決定している。
低山歩きとしての犬鳴山は、犬鳴ダムの近くに宮若川づくりの会によって新設された登山道がわかりやすく登りやすい。この登山道付近にはレストランもあり、駐車場も数台停められるスペースがある。自然林に囲まれた登山道は急傾斜も少なく、約1時間ほどで山頂へ到着できる。山頂部は熊ヶ城と呼ばれる山城があった場所で見晴らしもいい。また、ダム周辺には犬鳴御別館という幕末に築かれた福岡藩主の隠れ家的城館もある。登山の後は脇田温泉で疲れも癒せる。
詳細はコチラ⇒https://yamap.com/activities/5251745
笠置山:飯塚市・宮若市
宮若市と飯塚市の境界にある標高425mの笠置山は、直鞍地区と嘉飯地区を見渡せるロケーションにある。山頂付近を中心に笠木城という山城が築かれたことで知られ、今でも本丸、二の丸や空堀などの面影が残る。登山道は宮若市側の千石峡入口バス停付近と、飯塚市側の笠置橋バス停付近よりはじまり、途中竹林や杉、ヒノキといった緑豊かな自然林をすり抜け、傾斜を上がっていく。傾斜は急勾配な箇所もあるが、比較的登山を楽しめる道が山頂まで続く。山頂からは福智山、香春岳、英彦山などを遠く眺める環境にあり、ここでしか目にできない眺望に出会える。また、山麓の千石地区には大屋敷、小屋敷、屋敷町、小性町など歴史を感じさせる。笠置山登山と千石峡での水遊びやキャンプなど、1日あればアウトドアを満喫できるのはお手頃なところであろう。
詳細はコチラ⇒https://yamap.com/activities/5284748
長谷山:嘉麻市
嘉麻市と桂川町の境界付近にある標高311mの比較的低い山。ハイキングには最適の山と言え、3つある登山道(長谷寺、笹原、桂川町方面)から20分程度で山頂に至る。枝国公民館を目指して車のナビを設定するとマイカーでは簡単に目的地に到着できる。
登山道もよく整備されており、小さなお子さん連れでも道に迷うことなく頂上へと行ける。山頂の眺望は、嘉飯地区の平野部が広く見渡せ、その背後には嘉穂アルプスがそびえる。周辺に公園整備等がなされていないのは残念だが、低山歩きの初心者にはやさしい山である。詳細はコチラ⇒https://yamap.com/activities/4760424
日王山:福智町・飯塚市
筑前、豊前の旧国境にあたる場所に山頂が位置するのが日王山で、標高は213mと低いが、筑豊全域を全周パノラマのように見渡せるのが大きな魅力。飯塚市側の麓には子どもの遊具を始め、テニスコート、野球場、サッカー場、プールなど、広大な敷地に整備された筑豊緑地という県営の公園がある。一方、福智町側には天然温泉の大衆浴場、日王の湯がある。
登山道は福智町、飯塚市のどちらからもあり、ともに35~40分程度とお手軽なコースとなっている。山頂からの眺望は、先述のとおり筑豊地方を一望でき、筑豊の中心部に位置することがよくわかる上に英彦山や嘉穂アルプスなど、周辺の名所も目にすることができる。家族連れで休日のひと時を過ごすには最適な環境にあるのが日王山だ。
詳細はコチラ⇒https://yamap.com/activities/51197
岩石山:赤村・添田町
【NMNサプリ分野において『医療従事者が推奨するNMNサプリ No.1』を獲得。 】田川地域の添田町と赤村の境界に位置する岩石山、はじめて目にする人には「いわいしやま」と読むことが多いのではないか。しかし、ここでの読み方は「がんじゃくさん」とされるのが一般的。その名に示すとおり、添田川、赤側の両方から登る登山道のあちこちに花崗岩質の巨岩がある。
標高454mを測る岩石山は、田川地域の南東部にありその背後には霊峰英彦山がある。英彦山へ向かう主要道を見下ろすところにあるため、前衛的な戦略拠点として古代から重要視された。この地に城が築かれたのは保元3(1158)年、教科書にも登場する平清盛の命によるものだった。この着眼点は鋭いもので、山の至る所に巨岩が散在するため、攻めるに難く、守るに易い山城となった。築城から500年近くたった江戸時代、太平の世となったのを機にその役目を終えるかのように廃城となったが、その間幾度もの争いの舞台となった。
固有の名で呼ばれている巨岩は、国見岩、大砲岩、八畳岩、天狗岩、乙女岩、針の耳などがあり、知らず知らずのうちに登山者が呼んできたものが定着している。添田川、赤側のどちらからでも登山を楽しむことができる。最近では落ちそうで落ちることないその岩の様子にあやかって、受験生たちが験を担ぎくるとも聞く。普段から健康増進の意味で歩みを入れる人も少なくない。山頂付近にある国見岩からは田川の盆地の様子を一望でき、晴れた日は響灘の方まで見通せる。それほど難易度の高くない登山を気軽に楽しみ、かつ澄み渡るような眺望を、岩石山は私たちに与えてくれる。
詳しくはこちら⇒https://yamap.com/activities/5480717