炭坑節のふるさと、または炭都として全国にPRしている田川市。その玄関口のひとつ田川伊田駅が、紆余曲折しながらも1/25(土)にオープンセレモニーが行われた。関係者はひと段落といったところだろうが、その大まかな姿をみてみよう。
外観よりイメージチェンジ 黒塗の田川伊田駅
外観は石炭の黒をイメージした重厚な造りで、入り口向かって左手が待合室、正面が改札口、右手は観光案内所となっている。このうち、観光案内所は同市にある福岡県立大学の学生が運営する形になるという。JR九州から田川市が買収した同駅舎での活動となるため、官学連携を模索していくことになる。このほか1階部分には、「田川伊田駅のパン屋さん」、そしてうどん店「いたんこ」がテナントとして軒を連ね、それぞれ1月24日、25日にオープンしている。
2階には寝台列車「浪漫号」(宿泊施設、いわばホテル)と鉄板焼きレストランとなり、ともに地域ではにわかな話題となっている場所。
寝台列車「浪漫号」は、鉄道ファンを中心に話題となり、「日本で最も鉄道の近くで宿泊できる」としてメディアも取材に来るほどであった。また、昨年の夏から秋にかけて、レストランではビアガーデンが企画され、好評という声が多かった。滑り出しは上々というのが2階フロアで、これからもユニークな企画を期待したい。
リニューアルの一方で、寂しさも感じさせる駅前
こうした喜ばしい話の一方で、「駅を出れば景色が退屈」「ロータリー側は何もない」などの声があるのも事実。駅舎のによって駅そのものはとても雰囲気がよく、快適な空間で親しみ持てるようになったものの、肝心の人が集まるための工夫が一歩、二歩足りないと感じるところがある。これからのお楽しみと期待したい。
この後、駅前のロータリーがどのように様変わりするのかも気になるところだが、この一方で車社会の中で鉄道を利用する人を増やす取り組みや、駅前に雇用の場となるベンチャー企業など総合的な目で「人が自然に集まるビジョン」が必要ではないだろうか。
少子高齢時代の今、今後は車を手放さざるを得ない人々がこの地域でも多くなる。
そのための準備として、あえて鉄道を利用するためのユーザビリティを向上することや、若い世代が働いてみたいと思える企業の誘致や創出など、考えるだけならやるべきことが山積している状況。
こうした中、住んでいる私たちができることはなにかを考えてみたい今日この頃。コンパクトシティ田川伊田を夢見て。何かを期待して楽しみに人が寄り添う駅へとなることを願いつつ。
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