放置竹林の伐採作業から伝えたい未来像 竹のリサイクルに向けて

Blog 筑豊見聞録

7月27日から30日にかけて、嘉麻市の個人所有地で行われた株式会社ちくほう竹活の放置竹林伐採作業に関わりました。業務内容は竹林の皆伐(一部間伐含む全部伐採)、ここではそこで感じた将来性、未来像についてまとめて見ました。

山林や個人の所有地が整備されずに地域の課題、問題として表面化している昨今、放置竹林に向き合うことでどんな未来が描けるのかをみなさんとともに考えてみましょう。

道路、宅地に迫る放置竹林

7月27日に撮影した着工前の画像では、敷地からはみ出るほどの竹林で覆われていました。敷地面積は約320㎡でした。

1枚目の画像からは歩道に迫り出すように、竹が生い茂っている。中には枯れてしまった竹もあり、倒れてしまいそうなものもありました。

2枚目の画像からは、手前にある住宅にのしかかるように竹が生えている様子がわかります。

現状ではそれほどの危険性がないものの、このまま放置すれば公道へ倒れかかって自動車や人の往来を妨げたり、最悪の場合は事故につながる危険性も生じてきます。

宅地を跨いで他の所有者の敷地に入り込んだり、竹林の倒壊で窓や壁を破損する恐れも生まれます。このような事例は、筑豊各地にみられるものでその対応が求められることが多くなってきているようです。

竹林整備の技術〜伐採に関するカンタンノウハウ〜

放置竹林を伐採するのはいたってシンプルな方法が多いです。

切り出し・間引き

地表近くの根元部分をノコギリやチェーンソーなどで切るのを切り出しということが一般的。チェーンソーはスピーディに切り出すことができますが、実は竹との相性が良くない場合が多く、故障が頻発すると言われます。

一方ノコギリで竹林内を一本一本剪定していくことは大きな労力となり、大勢の作業員が必要となります。

玉切りとは、10m近く伸びることもある竹を必要な長さに切ることです。この時に枝を切り落とすこともあります。写真には2トン、4トンそれぞれの大きさに合わせ、荷台よりはみ出る部分を切り落としていることがわかります。

剪定・間引き

間伐の一種となる剪定と間引きがあります。これは竹林を機能的に活かして、敷地境界の垣根の整備やたけのこなどの収穫に先立ち作業する場合があります。

今回の現場では、垣根としていた竹林の伸びすぎた部分に刈り入れのための剪定と、枯れてしまった竹の間引きを行なっていました。

整地(皆伐作業の仕上げ)

切り出し中に飛散する竹の葉や枝を清掃すると、竹の根元部分が地表より飛び出してしまうことがあります。これでは歩きにくいため、できる限り凹凸を少なくするための作業が皆伐の中の整地作業です。

廃材活用を見据えた竹林の将来像

伐採後の現地
伐採後の現地
伐採後の現地

延べ4日間で作業員の延べ人数は25人、切り出された竹の廃材は4トン車3台、2トン車6台分となり、その膨大な量に驚くばかりでした。

周辺への影響への危惧もなくなり、かつ見晴らしが良くなった上に景観美化にもつながり、清々しい気分になりました。

目を見張るのは竹の廃材。これだけの敷地から先程のような大量の竹が搬出されたことは、大きな資源を得たということ。

古くから竹は、アンティークや小物、カゴなどの生活用品にはじまり、塀や壁などの建築部材にも活用されてきました。そして、最近ではバイオマス燃料やチップ・パウダー化して農業用の土壌改良剤や竹炭にした消臭剤など、活用の幅が広がっています。

物価高騰の煽りを受け化石燃料の単価が上がり、海外からの輸入に大きな負担、私たちの暮らしにも少なからず影響を与える昨今、エネルギーのこうした事情を身近にあるものに段階的にシフトし、世界経済の影響から少しでも軽減できるのではと考えてみました。

放置竹林は加速度的に広がっています。その一方で、少子高齢化による担い手の不足、林業の不採算性など、地域にある資源を有効活用するにはまだまだ課題が山積しています。

資本主義の発展にともない、田舎にある資源は見捨てられたかのように放置されてきましたが、地域にあるものを資源として捉え直してみる時が今なのかもしれません。

コロナウィルスの世界的蔓延によって、都市やその近郊での暮らしを見直す人々が出てきた今、田舎で暮らすことのメリットととともに、地域の資源を有効活用して雇用や住環境の整備、そして自給力向上を持って格差の是正、平均所得の向上につなげるチャンスではないでしょうか。

竹のリサイクル、実は田舎の産業を支える重要な役割を担う時が来るかもしれません。

竹林整備にお悩みの方は、ぜひ下記のページもご覧ください。

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