考えてみたい防災、減災 筑豊の二大活断層から

Blog 筑豊見聞録

筑豊地区にも大地震の震源となりうる二つの活断層帯がある。それは、国の調査機関が優先的に調査する「主要活断層帯」に指定されているほど、重要視されている事はあまり知られていない。

もし動けば、マグニチュード (M) 7以上の地震が起きるのではないかとも考えられている。旧産炭地の筑豊の地下には無数の坑道跡があるとされ、専門家は「坑道跡に地震で亀裂が入った場合、被害が拡大する恐れがある」と指摘する。

そこでここでは、筑豊の活断層に注目し、日頃からどのような備えや認識が必要か考えてみたい。

二つの眠れぬ龍 西山断層帯、福智山断層帯

2016年4月1日の熊本地震の前震はM6.5、同16日の本震M7.3だった。

国の地震調査研究推進本部地震調査委員会が注目している筑豊を通る活断層帯は、西山断層帯福智山断層帯

西山断層帯は、沖ノ島南方の玄界灘から宗像市大島の北岸付近までの「大島沖区間」(約8km)と同市大島の北岸から飯塚市西部までの「西山区間」(約3km)桂川町から東峰村および朝倉市まで伸びる「嘉麻峠区間」(約3km)で構成され、全長は約11km。

同委員会は、隣接する区間が同時に活動する可能性は否定できないとし、その際の地震の規模はM7.9~8.2程度としている。

一方、福智山断層帯は、北九州市若松区頓田付近から田川市夏吉付近にかけて分布する全長約28km。 同委員会は、この断層帯全体が動いた場合はM7.2程度の地震が起きる可能性があるという。

筑豊ならではの事情 地中の坑道跡

断層に加え、筑豊地区の特異な地下構造の影響も懸念される。 どこに、どれくらいの坑道跡があり、今どうなっているのか。炭鉱閉山からほぼ半世紀がすぎ、現状把握が極めて困難なのだ。

飯塚市の担当者は「ぼた山は土砂災害の恐れがあるため警戒しているが、抗道跡の状況は分からない」といい、宮若市も「把握していない」という。

炭鉱の採掘図などを管理する九州経済産業局鉱業課によると、50mより深い採掘跡は安定しているが、50m未満の所は今後陥没する恐れもあるという。

福岡市の警固断層調査検討委員会の元委員長で、西南学院大人間科学部の磯望教授 (自然地理学)は「これまでほとんど注目されてこなかったが、坑道跡で地震により落盤などが生じた場合には、地表が陥没したり、湛水したりすることになるだろう」と警告する。

西山断層帯での平均活動間隔は分かっておらず、最新活動時期は、大島沖区間が約2万年前より後、西山区間が約1万3千~2千年前の間であったと推定、嘉麻峠区間は不明。

福智山断層帯での最新の活動時期は、約2万8千~1万3千年前の間であったと推定され、平均活動間隔は約9400~3万2千年であった可能性があるという。

磯教授は「活動間隔に不明な点が多く、さらに調査が必要だが、これを機に地域の特性に応じた防災対策を考えてほしい」と話す。(2016年8月30日西日本新聞より、著:浜口妙華氏、一部改題加筆)

防災、減災のために

福岡では近年の大きな地震災害として、2005年3月20日に発生した福岡西方沖地震がある。このときは直接的な被害が、筑豊には少なかった。

しかし、地震災害に不慣れな人が多い筑豊に住む人たちにとって、あの時の揺れに驚きを隠せなかった人が多い印象が記憶にある。

筑豊各地は震度3〜4ほどの揺れだったと思うが、二つの断層帯に挟まれたこの地で直下型の大震災が発生した場合は、この程度では済まされない可能性が高い。熊本地震に相当する揺れや被害が発生するかもしれない。

そして、炭坑が残した坑道は、地表面近くでは大地震が発生した場合、その影響は計り知れない。落盤や地下水の噴出、地滑りなどの影響が、各地に発生するのではないか?

災害対策には行政が責務を負う部分が多いものの、先述したようにそれぞれの自治体内で把握しているには限界がある。

このような傾向を受け、各地区自治会にて防災会を組織しているところも見られ始めてきた。役所や役場そのものが被災して、機能しないことも想定されるための備えとも言える。

各世帯、個人では普段から防災グッズや非常食の常備は、各方面からの情報により一定の割合が認められそうだが、ここ筑豊で暮らすのならば炭坑が作り出した過去を、普段から意識する必要がある。

断層帯の現状からは、有史以来発生事例がないため、どれほどの規模の地震が発生するか定かではない。ただし、福岡西方沖地震の震源地が博多湾から数kmで震度6を超えたことや、熊本地震でも震度7を最大として震度6を数回数えたことから、同等規模の大地震が発生することは十分にありえる。

普段から避難経路、緊急避難場所の確認とともに、もしできることなら近所に暮らす年配者から炭坑に関係する情報を聞き出す事ができたらよりよい備えとなるでしょう。

筑豊ならではの防災、減災を

コメント

タイトルとURLをコピーしました