異色の蒸気機関車 アルコ22・23号の軌跡

Blog 筑豊見聞録
アルコ23号(小竹町)

貝島炭礦(現在の宮若市)で使用されていた機関車。その名も「アルコ22号」(宮若市石炭記念館所蔵)、そしてアルコ23号(小竹町民グラウンドに所在)。蒸気機関車は日本全国いたるところに保管され、あるいは放置されているが、このアルコ22・23号はちょっと変わった経歴をもつ。

アメリカ製で、大正9年に日本に輸入された。この機関車は、人や石炭を運搬したのではなく、石炭の掘削坑を埋め戻すための砂を、現在の飯塚市北端から運搬することを主として使用された。

一般的に炭坑のSLといえば、石炭を運搬するためのもの…でも、この2両のアルコは坑道に土砂を充填して、落盤を防ぐための仕事に従事していた。

そのユニークな形から「弁当箱」(胴体部分の両側にある箱型の貯水タンクを指しているようです)とも呼ばれ、当時はかなり親しまれていたらしい。見方によってはかわいらしくも見える。

明治18(1885)年に、筑豊御三家のひとり貝島太助によって開業した貝島炭礦は、最盛期には従業員を一万人を数えたと言われ、閉山となる昭和51(1976)年まで100年近くの間操業していた。

その途中に購入された米国アルコ社製の小型機関車は、当時3万4500円(現在の価格で換算すると2億8600万円)だったそうです。全長8m弱の愛嬌すら感じる姿からは、ちょっと想像できないかも?

そして、最近では直方汽車倶楽部の協力により、化粧直しがおこなわれたそうです。⇒「筑豊の宝物」小竹のSL補修

近くにお越しの際は、ぜひ一目見ておいてください。このタイプのSLは、国内ではこの筑豊にしか保存されていないそうです。この意味では本当に貴重なものだと思います。

機関車トーマスを彷彿させますよ。その愛らしい姿から、筑豊の歴史に少しでもふれてもらえれば幸いです。

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