ご当地グルメ、あるいはB級グルメなど、日本全国各地にはそれぞれの趣向を凝らした美味がある。ここ筑豊にも昔からの名物や銘菓があまたあるが、今回はその中でも直方の新ソウルフード、ここ最近になって復活し、TVやラジオなどにも取り上げられている。
焼スパと聞いてなんとなくイメージの沸く人もいるかもしれない。または、懐かしいと感じる人もいるかもしれない。1980~1990年代にかけて、学生を中心に親しまれていたという直方青春の味焼スパは、今は閉店してしまったとある喫茶店の名物だったとか。
どんなご当地グルメなのだろうか、筆者が実食した2店舗のレポートとあわせ、これまでの経緯も踏まえその魅力にふれてもらいたい。
直方焼スパ誕生と新ソウルフードへの成長
2010年、直方市の公募でB級グルメとは何かというクエスチョンに対し、直方界隈から姿を消した焼スパを、惜しむ声が多数寄せられた。このことにちなみ、直方焼スパがB級グルメとして位置づけられ、復活を果たしたという。これゆえにソウルフードならぬ「新ソウルフード」として位置づけられている由縁だ。
直方焼スパには公式ルールというものがある。それは…
①パスタ麺であること
②キャベツ、玉ねぎ、豚肉を具材とすること
③味のベースにトマトケチャップを使用すること
④麺、具材は焼くこと
これを公式ルールとしてクリアーすることで、直方焼スパと高らかに宣伝することができるという細かなこだわり。現在直方市では市内28店舗から、個性豊かな直方焼スパが生まれ、市民に親しまれている。このなかで今回は、紙面も限られているので2つだけ紹介しましょう。
実食レポート 「もすけ」と「ぐりーんぐらす」より

直方駅から徒歩10分もかからない距離に、「もすけ」はある。あたりは駅前の繁華街でも歓楽街として居酒屋やスナックが立ち並ぶ。
こちらの焼スパは11種類の素材を煮込み(ここは企業秘密だそうです)、1週間熟成経てできたたれに惹かれる。そのお味はというと焼そばに近いけれど、口の中で次から次へと広がる香りが単なるソース焼きそばとは大きく異なるところ。個人的な独断かもしれないが、味わいは和食の部類に入ると言っていい。濃厚な味わいでありながら、しつこさのないところ、トマトケチャップの酸味がほとんど感じられないところがある。キャベツなどの野菜は蒸しているためか歯ごたえがあり、コショウの香りが絶妙な後味となってインパクトをあたえてくれる。
(もすけ)
⇒https://www.city.nogata.fukuoka.jp/kanko/_1223/_4301/_4309.html

直方駅前のロータリーから徒歩5分程度と近い場所に「ぐりーんぐらす」は店を構えている。どちらかといえば、居酒屋さんとしてのカラーが色濃い店でもある。
こちらの焼スパは、トマトケチャップのベース味がしっかりとした、ナポリタンに近い味と言うべきかもしれない。昭和期のデパートにいって、そのなかにあるレストランでナポリタンをオーダーすると出てくるものを思い出してほしい。その味を彷彿させるため、今となっては懐かしいと感じる人もいる。熱い鉄板で出てくるため、食べてる間も微妙に麺が焼かれ、最後の方の麺は表面が軽く焦げ、カリカリとした食感も楽しめる。
(ぐりーんぐらす⇒https://www.city.nogata.fukuoka.jp/kanko/_1223/_4301/_4313.html)
ごく簡単なレポートではあるが、それぞれの特色が伝わってくれればと思います。それにしても、この二つの焼スパ以外にもまだ、数々の焼スパが存在すると思うと、次の食べ歩きが楽しみでもある。直方市中心部の散策も楽しみながら、新ソウルフードの奥ゆかしさを楽しんでもらえればと思います。
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