ローカル線の旅筑豊版5選 No.2 日田彦山線

Blog 筑豊見聞録

小倉駅から筑豊地方田川地域経て、大分県の日田市にいたる鉄道はJR九州によって運営されている。路線名を日田彦山線といい、2017年7月の北部九州豪雨により被災し、現在でも福岡県の添田駅から大分県の夜明駅までが不通となっている。今もその復旧のあり方が議論となっているが、ローカル線としては歴史があり、かつ沿線にもみどころはたくさんある。今回は、日田彦山線の楽しみ方を提案してみよう。

ポイント1 採銅所駅と香春岳

あまりふれることないこの路線の歴史を簡単にみてみると、開業は大正5(1916)年と100年以上の長きにわたることに意外なおどろきがある。小倉鉄道という私鉄が開業にこぎつけ、国鉄への移管、民営化を経る一方で、単線での営業開始以来現在もそのままとなっている。

それを象徴するのが、北九州市と香春町の境界となる金辺トンネルを抜けて、田川地域に入ってはじめの停車駅、採銅所駅ではないだろうか。この駅、木造駅舎として開業から変わらぬ姿で今にいたっている。ということは、100年の時を超え未だに現役で、木造駅舎としてはかなり古いもの。そうそうお目にかかることはできず、周囲の景観と相まってここでしか見れない演出となっている。

この採銅所駅を通過すると次に見えてくるのが香春岳。一の岳と呼ばれる山は、もともと急峻な山であったことで知られるが、石灰の採掘によってその姿が扁平となってしまった。麓から平地にかけては巨大なセメント工場が広がり、台上の山と工場のモノトーンによる光景は、おそらくここにしかないのではないだろうか。それは産業遺産としても非常に価値が高く、日本の鉱工業の象徴的景観の一つと言ってもいいかもしれない。

香春岳とセメント工場

ポイント2 産業遺産田川石炭記念公園

旧三井田川鉱業所と二本煙突

香春岳を過ぎると田川地域の中心地、田川伊田駅へと到着する。駅構内は停車する列車の数に比し大きな敷地となっていることに気づく。そして丘の上を見上げると、炭都田川の象徴、筑豊炭田唯一の産業遺産である旧三井田川鉱業所の竪坑櫓と二本煙突が威容を示している。これをみればその駅構内の大きさがうなずけるかもしれない。筑豊炭田一の出炭量であったここから、大量の石炭が運ばれた過去の名残としてうなずく人も少なくない。

ポイント3 日本三大修験 英彦山

田川伊田を出発すると田川後藤寺、豊前川崎を経て添田、そして今不通とはなっているものの彦山駅へといたる。ここまでが筑豊地方。添田駅からは、日本三大霊場のひとつ英彦山へと結ばれているコミュニティバス(添田町運営)があり、銅の鳥居やしゃくなげ荘、ひこさんホテルといった名所や宿泊施設まで行くことができる。

国見ヶ岩からみた英彦山の古い町並み(階段状にいくつもの坊が連なっている)

こうしてみると日田彦山線は、黒ダイヤ、白ダイヤと言われた筑豊の2大産業と日本で三本の指に数えられる修験道の霊場を一挙に楽しむことができる。人によってはちょっと贅沢な旅と感じる人もいるかもしれない。筑豊の歴史の一部を気軽に楽しみたいという方には最適な鉄道で、ディーゼルカーに揺られながら懐かしい車窓を楽しみながら英彦山での一泊も癒されることだろう。このようなプラン、JR九州やツアーコンダクターの目にとまって、「筑豊の歩き方」みたいなツアーが企画されればと願う今日この頃…

英彦山周辺の楽しみ方はコチラをご参考あれ⇒パワースポット霊峰英彦山

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