個人事業主、中小企業の経営者にこそ知ってもらいたい伴走型経営コンサルティングとは？

経営コンサルティングという用語は、いろいろな企業や業種に関わる多様なサービスを包括していますが、一般的には高額なサービス料で専門性の高いものというイメージがあります。こうした中、伴走型コンサルティングというサービスが、個人事業主や中小企業の経営者を中心に注目されています。

あまり聞きなれない伴走型コンサルティングとは何でしょうか？ここではその定義も含めお話したいと思います。

伴走型経営コンサルティング、その意味と特徴

まずは「伴走型」という言葉についてお話しましょう。

英訳された言葉をみますと　「Accompanying Manegment consulting」と表記されます。この「Accompanying」という言葉の意味は、「ともに行く、同行する、ついて回る、付き添う」といったものがあります。

具体的には、伴走型コンサルティングとはコンサルタントが個人事業主や中小企業の経営者と一緒に働き、彼らのビジネスをサポートすることを意味しています。コンサルタントがクライアントの側に立ち、長期的なビジョンを持ち、戦略を策定し、問題解決策を提供します。

別な言い方では「ハンズオン（Hands on）型経営コンサルティング」とも呼ばれているようです。「ハンズオン」という言葉には、「実地で体験する、自分も参加する、実務に携わる」という意味があります。

伴走型コンサルティングのコンサルタントは、経営者が成功するために必要ないくつかの分野に直接携わる形で協力します。

例えば、ビジネス計画の立て方、文書作成のアドバイス、原価計算の支援、財務戦略の開発などです。また、必要に応じて、クライアントのマーケティング手法を改善したり、法律問題を解決したりすることもあります。

伴走型コンサルティングは、よく知られた大手コンサルティング会社に比べて、費用がかからないと言われたりもしますが、その代わりにコンサルタントがクライアントのビジネスに深く関わり、長期的な責任をもって仕事を行うことが求められます。

個人事業主や中小企業にとって、合理的なコンサルティングの形とは何か？

伴走型経営コンサルティングは、従来のコンサルティングと比較して低コストで利用できるサービスが多く、個人事業主や中小企業にとって敷居が高くないところがメリット。

このタイプのコンサルティングは、企業で実行可能な具体的な戦略の策定に重点を置いています。コンサルタントは、ビジネスのニーズに合わせて戦略をカスタマイズし、プロセス全体を通してガイダンスを提供します。このタイプのコンサルティングは、管理しやすく、費用対効果が高く、個々のビジネスに合わせて特別に設計されています。

カスタムメイドの戦略を提供するだけでなく、伴走型コンサルタントが従来のものと異なるのは、より深く企業に関わることができる点です。

伴走型コンサルタントは、クライアントが小規模で厳しい予算で運営されていることを理解しているため、クライアントの成功のためなら、それ以上のこともいとわない。クライアントと二人三脚で関わるスタンスが、個人事業主や中小企業の経営者にとっては最大の魅力と言えます。

具体的には、財務計画、マーケティング戦略、企業にとって最適なソリューションの発見などです。さらに、クライアントが必要とする場合には、ビジネス運営に関する一般的なアドバイスやサポートも提供します。

伴走型経営コンサルティングのデメリットといえば、サービス料がリーズナブルな設定となっている場合が多いため、事業として位置付けている企業や専門家が少ない点にあります。

このため、選択肢が少なくなってしまうことが多く、中小企業診断士の事務所であったり、クライアントの所在地から遠方であるということも生じたりします。

希望や条件に合うコンサルタントを選ぶことが困難な場合となることもしばしばです。

また、コンサルタント側の事業規模が小さい、このため適切な人材がいない、あるいはクライアントへの対応が不足がちということも考えられます。

個人事業主や中小企業にとって、このタイプのコンサルタントとの契約をする場合に、どういった目的で活用するのかを明確にすることが重要となります。

これまで自社の製品で営業してきたものの、新時代のニーズに応えるべく経営理念の再検討や、作業工程の効率化を目指したICT技術の活用、コロナ禍によって顧客離れしてしまい経営がひっ迫する中、ウェブ活用による効率的な新規集客など、特定分野を外注するという視野があるのであれば、伴走型を選択することが合理的なものとなるかもしれません。

最近では特定の人材活用によって、会社が不得意とする分野をリーズナブルな価格で提供するサービスもあります。

個人事業や中小企業では活用できる予算も限定的です。経営のことについて参画してもらいたいと考えている場合は、大手コンサルを選択するより合理的ですが、そうでない場合は特定分野を外注できるサービスを探すことも効果的と考えます。

このような観点からすれば、起業家にとっても検討の余地のあるサービスと言えるでしょう。

個人事業主・中小企業の躍進に向けて

伴走型経営コンサルティングは、支援を求める個人事業主や中小企業にとって、素晴らしい選択肢です。従来のコンサルティングよりも低コストで、ハンズオンによる支援で、より個人的なアプローチを提供します。

また、コンサルタントが推奨する戦略を成功させるために、ビジネスに対するサポートと専門知識のレベルを提供します。もしあなたが、手頃で効果的な経営方法を探している中小企業であれば、伴走型経営コンサルティングは素晴らしい選択肢となるでしょう。

経営者や起業家は、常にさまざまな課題に直面し、決断を迫られる状況に置かれています。

しかし、身近に相談できる人がいないと、孤独を感じることも多いのも確かです。置かれた課題によっては孤立無援さや、話を聞いてもらえる誰かがいてくれればという切実な問題もあるでしょう。

伴走（ハンズオン）型の経営コンサルティングとも呼ばれる、コンサルサービスは直接現場に赴き、一緒に解決策を考えていくコンサルティングです。このような姿勢が孤独な経営者や起業家にとって、新たな選択肢としてふさわしい場合もあります。

日本は長らく低成長時代、失われた20年とも30年とも言われ、華々しい好景気から遠ざかっています。このような景気回復の鍵は、これまでの大企業主導の経済成長を期待するのではなく、全国に３５０万社を数えるという個人事業・中小企業の活躍にこそあるのかもしれません。

大企業がしたがらないニッチな市場に着目したユニークな事業創造、これが内需拡大やこれまでとは異なった海外展開、ここに個人事業主や中小企業の活路がある。

こうしたユニークなビジネスで、ともに汗を流すコンサルティング、これから各地に展開される時も来るかもしれません。