コロナウイルスの猛威により、大都市に暮らす人たちの中には、「自然環境が豊かな田舎での暮らしの方がリスクが少ないのでは?」とか、「憧れの一戸建てを持ちたい」とか「物価や税金の安いところの方がいいな」などと思う人も多くなってきたのかもしれません。最近は、日本全国でIターン、Uターンの斡旋を積極的に取り組んでいる団体や企業、自治体も多くなってきました。
定住・移住にかかわる各市町村の助成制度や補助金は、それぞれ独自の予算を設けているようで、その内容もまたまちまち。そこでここでは筑豊地方の各市町村で、定住・移住助成・補助制度についてどのような特徴があるのでしょうか、調べてみました。みなさんのライフスタイルの創造、豊かな暮らしの参考になれば幸いです。
住宅施策にみる各市町村の助成制度について
共通した傾向にあるのは、とりあえず空き家バンクについてはある程度仕組みを設けていること。その具体的内容は、各市町村の空き家の数に大きく左右され、都市化が進んでいるところの方が、空き家バンクへの活用が図られているようです。
例えば、飯塚市のように福岡大都市圏のベッドタウン化している地域(特に福北ゆたか線の沿線各駅)は、その利便性から賃貸借の不動産も多い一方で、空き家の件数も多くなる傾向にあります。
こうした地域は、敷地が隣り合うことが多く、空き家の管理不備となってしまった場合には、周辺に隣接する建物などにも影響を及ぼしてしまう。このため、積極的に空き家バンクを活用して、管理不備への予防策として活用していると言えます。
これに対し、住宅街や商店街のように隣接せずに、隣との敷地、建物の間にある程度余裕がある地域は、所有者等の管理不備となっても影響が少ない傾向があるため、先に示した地域に比較して空き家バンクの積極的活用は迫られていない傾向にあります。
しかし、こうした地域は公共交通の利便性が良好とは言えず、むしろマイカーでもって通勤、通学、移動を余儀なくされることが多いのもまた特徴です。30~50代の現役子育て世代には負担と感じることもあり、高齢者世帯にとってはやや不便と感じるかもしれません。
さて本論に戻ってみましょう。定住、移住に関する助成制度、補助金に関して筑豊各市町村の制度をまとめてみました。
市町村名 | 事業名 | 内 容 | 助成上限額 |
飯塚市 | 飯塚市筑豊地域外からの 移住者住宅取得奨励金制度 | 筑豊地域外から市内に住宅を取得する移住者に対し、 経費の一部を奨励金として交付するもの | 1,000,000円 |
嘉麻市 | 転入者等住まい応援交付金 | 市内の中古住宅を購入して市外から転入した場合に 交付金を交付する | 2,000,000円 |
小竹町 | 小竹町移住者 住宅取得補助金 | 町内で新築住宅を取得し、定住する意思をもって転入 した者に対し、移住支援補助金を交付 | 700,000円 |
添田町 | 添田町定住促進 リノベーション事業 | 定住する目的で空き家を購入し、リノベーションする 方へ支援する | 1,800,000円 |
福智町 | 定住促進助成事業 | 町内に住宅を新築、または中古物件を購入する場合、 費用の一部を補助する | 1,000,000~ 1,500,000円 |
各市町村のホームページを閲覧しながら、これはめずらしいと言えるものをピックアップしてみました。積極的に制度化を進めている市町村として、飯塚市、嘉麻市、小竹町、添田町、そして福智町があるようです。
自治体の規模によって予算に限りがあり、その内容もいろいろと条件があります。ですが、こうした形での支援はうれしいところです。
筑豊ぐらしのここだけの話
筑豊各地区は少子高齢化のあおりを大きく受けている状況にあり、人口減少に歯止めがかからない状況です。こうしたことに憂慮する市町村の中で、積極的ともとれる姿勢が感じられます。現役世代の筑豊圏域外からの移住、そして生まれ育った人々の定住促進を視野にした助成制度が見受けられます。
公共交通機関や生活圏での暮らしをみてみると、飯塚市と小竹町は福北ゆたか線の沿線にあたり、福岡市や北九州市へのアクセスも比較的容易です。また、飯塚市には市内にショッピングモールや中小のスーパーマーケットも多く、医療機関も多いのが特徴です。小竹町は、隣の直方市も含めて考えれば同様な暮らしを実現することができます。
一方嘉麻市と添田町は、先ほど示した市、町と比較して公共交通機関に恵まれていないことがちょっとしたデメリット。マイカーがあれば特に気になるところには感じられないでしょうけど、子育て世帯にとっては進学先によって負担と感じたり、バスや鉄道の便数の少なさ、コミュニティバスでの移動にはちょっと不便を感じるかもしれません。
嘉麻市の嘉穂アルプス 添田町の鷹巣原
都市生活に慣れ親しんだ人たちには、飯塚や直方での暮らしには馴染み易いところがあります。すぐ近くにある緑と川によって豊かな自然環境のなかで、都市生活をできるのは大都市で生活する人たちからすれば魅力的にもみえるでしょう。
こうしたライフスタイルよりも、隣近所を気にすることもなく、本格的に田舎で暮らしたいという人々には、先ほど挙げた添田町をはじめ、嘉麻市や宮若市、鞍手町などの方が肌に合うと思います。マイカーでの散策や自転車でのサイクリングなど、自由なライフスタイルが実現できると思います。こちらもあわせて読みたい
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