竹林との関わりは簡単なようで、大きな労力・負担をともなう場合がある。今回はそのうち間伐による手入れから、竹との上手な付き合い方を提案したい。
頭を抱えてきた人にとっても、竹林とうまく関わっていくためのノウハウをお伝えできれば幸いに思います。
間伐、全伐による生態系維持
かつて日本では竹材によってさまざまなモノが作られ、建物などにも使われた。その歴史は古く、縄文時代までさかのぼる。


竹の廃材は、編み籠をはじめとする竹細工、ランプシェードや竹灯籠、そして門松、最近では割箸や製紙の原料ともなっている。
意識していなければ私たちの暮らしには、たくさんの竹製品に囲まれていることに気づく。
環境にやさしいリサイクルといっても、現在はコスト高な側面があるため、プラスチックなどの方が安価に感じられるため、家庭でも見かけることが少なくなった。


このほか、建物の垣根や塀、土塀内に埋め込んだ鉄筋ならぬ竹筋、内装では屏風や天井板の装飾など、柔軟性と耐久性の強さを活かしたものもある。
このような製品は、竹林の間伐から得られたものを利用している場合が多い。
しかし、過疎化の影響で地域から生産世代が少なくなったことや、所有者の高齢化によって敷地内の竹林が放置されることに拍車がかかった。
また、上記のような製品が安価な海外製品によって代用されるようになったため、竹が資材として利用される機会が少なくなった。こうして放置竹林が大きく広がってしまう原因となってしまったのだ。


間伐はこまめにすればそれほどの労力を必要とせず、その地域の生態系維持に役立つ。
場合によっては竹専門の業者に委託し、全伐してしまうこともできる。
この場合地表から上部のみを伐採するため、地下茎が地中に残る。程なく新しい稈(かん)が数ヶ月で数十cmから数mに伸びてくる。
このため開発等で多いのだが、地下茎の除去、抜根を行なえばその地から新たな竹は生えなくなる。この場合は重機による作業となる場合がほとんどで、個人では負担が大きい。

タケノコ流通事情
最近は海外からの輸入品が多くを占めているが、古くは国産のものが主流であったタケノコだが、国産として安心感をPRし市場シェアを伸ばしている事業所もある。
福岡県では合馬産(北九州市)や八女産(八女市)などが知られているが、意外と知られていないのは、全国一の生産高を占めるのは福岡県であるということ。


タケノコは単に調理して一品の料理となるだけでなく、メンマなどの加工品にもされ、馴染みがある人も多い。
特に合馬産のタケノコは、1,300haに及ぶ広大な森林を管理する過程で収穫し、山林保全も兼ねた企業活動として注目される。旬の季節のみならず真空パックに加工された製品は、保管期間も長いため年中提供できるメリットがある。
また、夏に獲れる緑竹、秋に獲れる四方竹と品種を栽培することで年中収穫できる仕組み化に取り組み。最近ではふるさと納税の返礼品としても評判が高い。竹の地下茎に客土を盛ったり、肥料の良し悪しの試行錯誤を繰り返してきた結果、競りでは驚くほどの高値がつくブランドに成長した。
動き出す自治体、補助金・助成金によって
竹林整備については、大きな労力や負担がともなう場合がある。ここでは大規模な対象地や緊急性の高い住宅隣接地に対し、自治体が補助や助成をする制度についてふれてみたい。その内容を筑豊地方の自治体に限定してまとめてみよう。
現在筑豊地方圏内で放置竹林整備に対する補助・助成制度を設けているのは、嘉麻市と香春町にとどまっている。しかし、それ以外の各市町村でも要望が増えている傾向にあるため、今後整備される可能性もある。
嘉麻市放置竹林対策事業費補助金
市内在住者、または市内の自治会等の組織で、市内の竹林所有者に対する補助金制度を独自に設けている。
放置竹林の定義として、1 haあたり4000本( 10 mあたり4本)以上生育し、かつ適正な管理がなされていないということを条件に補助する。皆伐、間伐(4000本を2500本以下とする)それぞれの伐採法に適用される。上限額は1事業あたり40万円。その積算方法は以下の基準等により算出される

香春町荒廃森林整備事業補助金
基本的な条件は、嘉麻市のものとほぼ同一。異なるのは補助金上限額が30万円となる点である。

おわりに
放置竹林の危険性については、こちらを参照の上あらためて考え直していただきたい。資源としての活躍の場が生まれれば、それは私たちの暮らしにも大きな恩恵となるもの。九州地方の山間部における地域づくり、雇用創出などに貢献する可能性を秘めたものでもあるのだから。
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