コンパクトシティ飯塚市での暮らしレポート

Blog 筑豊見聞録
飯塚市街地忠隈のボタ山

筑豊地方最大の人口規模をもつ飯塚市は、大都市福岡と北九州市にもアクセスが良く、一人暮らしから子育て世代、そして高齢者にもやさしい都市として知られます。この稿では、程よく利便性のあるコンパクトシティ、飯塚市の暮らしについてレポートします。

大都市圏に挟まれたロケーション福岡県飯塚市

福岡県飯塚市の位置(引用元:コトバンク、一部加筆)

飯塚市は人口約129,000人(平成27年度国勢調査)、福岡県のほぼ中央に位置し、西に福岡市、東北に直方市を経由して北九州市とのアクセスが容易な環境にあります。

市中央を流れる遠賀川の流域に形成した平野部を中心に市街地があり、古くから小倉を起点とする長崎街道の宿場町として人々の往来がありました。

直方方面に流れる遠賀川は、市の東北部の平野部を潤し、それ以外の方角は基本的に山々に囲まれたいわゆる盆地と言われる地理的条件です。このため、寒暖の差によって朝靄が発生することが多いのも特徴です。条件によっては雲海も広がる日もみられ、幻想的な地理的演出もみられます。

八木山峠からみた雲海に包まれる飯塚市内

アクセスは、新飯塚駅から福岡市の博多駅まで快速で約35分、北九州市の小倉駅には50分ほど。どちらかと言えば福岡市のベッドタウン的な性格があります。

国道200号線、201号線が交差する陸運の要衝としても知られ、市域には数多くの工業団地や商業地が形成されています。さまざまな雇用にも恵まれたところがあります。

以上のような概況から、筑豊地方最大の中核市として、また福岡市や北九州市との交通も便利がいいコンパクトな街として位置づけられています。

飯塚駅からみる忠隈のボタ山

市内の暮らしについて

生活にかかる数値からみる飯塚市の暮らし

気になる暮らしの実態についてまとめます。

まず、家賃相場を大手不動産のポータルサイトから調べてみると以下のような表になります。

1K41,400円LIFULL HOME`S
1K~1LDK25,000~55,000円CHINTAI
1K32,600円ホームメイト
2K~2LDK43,000円~56,000円CHINTAI
2DK~2LDK40,300円~54,500円ホームメイト
3DK~3LDK47,100円~54,500円ホームメイト

ちなみに福岡県の平均は、1部屋47,737円、2部屋60,690円、3部屋70,663円と報告されています。(全国賃貸管理ビジネス協会編 2021年4月)県平均から比較すると安く感じられる結果となりました。

次に生活物価をみてみると、全国平均からみた福岡県の生活物価についてまとめられたものがあります。これによれば、福岡県は全般的に全国平均よりやや安いことがわかります。実体験からすれば、ガソリン価格などは、福岡市と比べ5~10円程度安く感じられます。飯塚市内にあるスーパーなどの野菜や食料品についても同様な傾向があると思います。

土地価格や不動産にみると、これについても同様に全国平均、福岡県平均より安い傾向が伺え、庭付き一戸建てのマイホームを実現したい人にはやさしい街と言えます。(以上は、福岡県の物価調査結果(福岡県消費生活センター調査)を参考)

課題としては、交通事故発生率や犯罪率、空き家の割合などからみると、もともとこの地に縁のあった人たちからは住みにくい印象があるのではと考えられます。そして、市内交通に不便を感じる声も多く聞かれます。マイカーをお持ちの方にはそんな不便は感じられないかもしれませんが、車の運転に不安を感じる高齢者にとってはデメリットとなります。

参考資料

飯塚市の街レビュー(スマイティ不動産住宅情報サイト)

飯塚市の住みやすさ(スマイティ不動産住宅情報サイト)

メリット、デメリットいろいろと感じられるところがありますが、飯塚市はこうした声にも対策すべく、移住・定住に対する制度を設けています。これは、近隣市町村でもなかなか手厚い方で、財政的な枠のなかで積極的な姿勢を示しています。下記の記事をご参照ください。

移住定住をお考えのあなたに 筑豊暮らしへの支援制度について

暮らしについてのクチコミ評判

クチコミによる飯塚市での暮らしの生の声を拾ってみました。

メリットでもありデメリットでもありますが夜は人通りがないので比較的すごく静かです。(日によって救急車やパトカーのサイレンが多いですが。)昼間は人通りあるので治安は悪くないと思う。目の前が幼稚園なので朝から太鼓の音がかなりうるさくて赤ちゃんのお昼寝がなかなか難しかった。逆に言えば明るい雰囲気ではある。

20代女性住人 SUUMO 九州・沖縄版

すぐ近くにスパイシーモールというスーパー、薬局、百均、クリーニング店、歯科、内科、整体院、うどん店のあるショッピングモールがあり、何かと便利。また柏の森エリアへ行けば、ファーストフード店や居酒屋なとの飲食店も多く、手軽に飲食するのには困らないエリアです。

30代女性住人 SUUMO 九州・沖縄版

駅から近いので、夜遅い時でもすぐにマンションまでつけて安心できる。コンビニエンスストアも近くにあって便利

40代男性住人 SUUMO 九州・沖縄版

徒歩圏内に麻生スーパーや少し歩けば100均ドラッグストアスーパー一体型になったところがあり散歩がてらよく利用します。まわりは居酒屋など飲食店がちょこちょこあります。

20代女性住人 SUUMO 九州・沖縄版

ベランダが東向きの部屋が多く、天気の良い日の朝はすごく眩しいです。寝坊する確率はかなり減るんじゃないでしょうか。

50代男性元住人 SUUMO 九州・沖縄版

車がないと近くにお店がないので不便。飲食店とコンビニが少ないです。スーパーはイオンとハローデイくらいしかない。

30代女性住人 SUUMO 九州・沖縄版

コンパクトシティ飯塚市に向けて

国土交通省が後援するコンパクトシティ大賞の第1回目において、飯塚市は表彰を受けています(平成28年度に「まちづくり月間全国的実行委員会会長賞」受賞)。

国交省のコンパクトシティモデル都市の第1弾として、飯塚市がノミネートされています。(⇒国交省モデル都市の形成・横展開

そもそもコンパクトシティとは?

ご承知のとおりコンパクトとは、「小さくまとまった」を意味することば。

でも、コンパクトシティと言われると具体的には想像がつきにくい方も多いかもしれません。都市機能を持つ市街地ではにわかに顕在化し始めている「ドーナツ化現象」、これを関連付けられることが多いのが「コンパクトシティ」というコンセプトです。

少子高齢化によって中核市などの市街地から若い世代が転居することによって、生産世代が減少しその地区の機能(「シャッター通り」などと呼ばれる商店街がその典型)が低下してしまいます。つまり、高齢者世帯ばかりが残ってしまい、本来の機能を有しなくなってしまう。

このことに対策をするために、市街地の機能を最低限度のものへ維持させ、小さな地区、市街地の中で人々が暮らし、憩い、コミュニケーションを交わせることができるために生まれたコンセプトが「コンパクトシティ」とされます。

健幸都市いいづかへ

平成31年度から令和5年度を期間として、『第 2 次いいづか健幸都市基本計画』が策定されました。これは、中心市街地をはじめ市域に顕著な傾向のある少子高齢化の影響に対し、さまざまな施策によって活性化を促進するためのプランです。

いいづか健幸都市計画について(飯塚市公式HP)

事業KPI基準値
(2017年)
目標値
(2023年)
歩いて暮らすまちづくり道路路側帯グリーンベルト1900m 3700m
公共交通ネットワークコミュニティ交通利用者数78,965人 93000人
健康拠点の充実・整備スポーツ施設利用者620,163人650,000人
トレーニング室利用者154,766人170,000人
まちの賑わいづくり車いすテニス大会参加者数31,843人35,000人
生活習慣病予防と健康管
理の推進
特定健診受診率9,334人11,000人
健康教室参加者50.2%60.0%
運動機会・体力づくりの
充実
ウォーキングイベント参
加者
3,804人4,200人
健康運動教室参加者1,149人1,700人
健康的な食生活の推進健康出前講座実施数19,238人21,000人
社会参加・生きがいづく
フレイル予防サポーター
登録
19 回30回
健康教育の推進健幸ポイント事業参加者652人 1,500人
大学・企業等との連携大学との包括連携協定事業0回3回
地域産業・健康産業との
連携
地元食材を活用した事業
95.4%100%
健康経営の推進事業所訪問実施数0件5件
高野裕作「飯塚市における中心市街地活性化・立地適正化計画と連携した健幸都市政策の取組み」

人々の健康づくりを通して、都市機能の維持を図り、そして地域の活性化にむけてさまざまな取り組みを計画しています。

大きな資本によって、都市計画が行われたり歓楽街や娯楽施設の整備を予定しているわけではなく、歩いても行けるような人々の行動範囲の中に都市機能を集約、整備を図っていく。コンパクトな中にも活気があるという都市、それが「健幸都市いいづか」とされます。

大都市にみられる賑わいもいいですが、小さな中にも人々の活気と笑顔がある。そんなまちづくりも魅力ですね。これからに期待です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました