ローカル線の岐路 日田彦山線BRT化で決着か?

Blog 筑豊見聞録
YouTubeよりキャプチャー画像https://www.youtube.com/watch?v=q-85Adp5hL0

写真は、西日本新聞(2020.02.13)付け一面記事。見出しの「日田彦山線復旧 BRT軸」とある。この”BRT”とは何か、馴染みのない方が多いのではないでしょうか。という私も何のことだかといったところ。これをご覧の皆さんも同じように感じているかもしれません。そこで少し調べてみました。

BRTとは?

BRTとは、「バス高速輸送システム(bus rapid transit)」のことで、鉄道の廃止や災害復旧に目処のたたない路線を、バス専用レーンに変えて運用するものだそうです。つまり、線路をバス専用道路に変えて、他の交通に妨げられることなく定刻通りスムーズなバス運行が可能というメリットがあります。

BRTのメリットとしては、先に述べたようにのバス専用道路のほか、鉄道ではできなかった経由地の設定も可能です。言い換えれば、駅からの乗降に利用者が限られる鉄道に対し、BRTは専用道路からはずれ駅以外のポイントへの経由もできるということになります。

また、建設整備にかかる費用が、鉄道そのものの建設費と比較しコストがかからず、ラニングコストも安価となります。この分、運行本数も増便とすることができ、災害により一部代替運行せざるを得なかった鉄道などで事例がある。(参考⇒https://trafficnews.jp/post/81531

これに対し、デメリットとしてあげられるのは、鉄道と比べバスはいかに専用道路を通行するとしても法令上は60㎞が上限となる。高速道路としての扱いではないので、鉄道が長い区間で出せる85㎞には及ばず、所要時間の増加が懸念されます。

現在、夜明(大分県)~添田(福岡)間が運休状態となっている日田彦山線。新聞記事では鉄道復旧に対し、周辺自治体に年間1億6000万円の財政負担が必要で、バス、BRTの場合はその負担がないとJR九州は説明している。これに対し自治体(福岡県、大分県、日田市、添田町、東峰村)側からは、東峰村のみ鉄道による完全復旧の声があるとのことだった。

少子高齢時代の始まりとも言える昨今、夜明~添田間の旅客数が大きく伸長することは考えにくく、JR九州のみならず沿線自治体まで大きな負担となり得る鉄道の完全復旧は現実的ではないような気がします。むしろ費用対効果の低い路線となってしまう可能性も…

BRTを積極的にとらえれば、通勤通学時間帯の運行ルートと日中の運行ルートを別にプランニングし、観光ルートへの巡回、JR九州を中心とした観光産業からのマーケティングによる日田彦耶馬渓国定公園の利活用へと発展させることを視野にすることができるのではないでしょうか。

この問題、周辺自治体にとっては大きな岐路になるかもしれませんね。そして、筑豊には他にも存続が危ぶまれている鉄道路線があります。この機会にBRTのメリット、デメリットをよく知っておいた方がいいかもしれません。

どうなる!?日田彦山線の未来!?

西日本新聞筑豊版(2020.05.20付朝刊)

昨日の朝刊にて報じられたのは、被災した箇所を中心にBRT化して、鉄道としての復旧を断念し、公共交通を維持していく内容でした。現実的な判断とはいえ、東峰村を走る沿線には眼鏡橋といわれる名所があり、イベント等で活用されてきました。

独特の形状をしたアーチ橋の上を普通列車だけでなく、SLが行き交う時もあれば、ライトアップ等の演出で人々に親しまれてきました。そうした背景を考えると、あの光景をもう一度目にすることができないという寂しさがこみ上げてきます。いわば、東峰村にとっては名所の一つを失うといっても過言はありません。

そもそも日田彦山線は、筑豊五大炭坑王の一人伊藤伝右衛門が宝珠山炭鉱を買収し経営したことにより、路線が延伸して小倉から日田まで直通することになった背景があります。この意味では筑豊地方にまったく無縁ではなく、忘れ去られつつある歴史的背景があるのです。

耶馬日田英彦山国定公園を縦貫するように行き交う路線、今後は観光PRによってBRTの利用促進がはかられるでしょう。そのときには炭鉱という側面からもアプローチしていくことも忘れたくはないものです。炭鉱がなければ、路線も生まれず、あの眼鏡橋も見ることはできなかったかもしれないのだから。

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