数々の霊木が宿る福智の自然。時折緑の癒しを求めて来る人がいます。そこは岩屋権現自然公園と呼ばれ、その名から荘厳さですら感じます。この公園、けっして人気スポットではありませんが、人の混み合いにあうこともないため気軽に訪れる人が後を絶ちません。ここではこの自然公園について紹介しましょう。
神々しさに満ちた巨木 岩屋権現の大杉
方城スカイライン(現在は封鎖中)の入口あたりにある岩屋権現自然公園には、ひときわ存在感の強い大きな杉が人の目を集めます。
その名も「岩屋権現の大杉」。
推定樹齢300~400年とも言われる巨木、人々を圧倒するかのようにそびえ立っており、自然の大いなる力を感じずにはいられません。
この巨木、実生により繁殖した非常に貴重な杉とされています(九州本島には天然の杉は存在しないと考えられているためです)。
崖に山伏の息吹や足跡 方城岩屋磨崖梵字曼荼羅
岩屋権現のお社の横の懸崖には建武2年(1335年)法橋良蜜によって刻まれた梵字曼荼羅がありいずれも福岡県の文化財に指定されています。
そびえたつ大杉の前にずっしりと腰を据えた大きな岩がありました。この岩に刻まれている方城岩屋磨崖梵字曼荼羅は、岩屋権現境内の崖面に刻まれた梵字と曼荼羅、銘文からなる県指定文化財です。
中心となる曼荼羅は四印会曼荼羅と呼ばれる珍しいもので、記年銘のあるものとしては最古のものだそうです。
その昔、中世から江戸時代にかけて、日本三大霊場である英彦山には、500を超える坊舎に3000人を超える修行僧がいたとされます。
つまり、修験が盛んで大名や貴族をはじめ一般庶民まで幅広く信仰を集めていました。
この英彦山で暮らしていた僧たちの年中行事に、「峰入り」という修行がありました。その一つのルートとして、福智山が位置していたと記録があります。
自らの霊験や悟りを得るため、時には荒業とも言える功徳を山のなかでおこなっていました。人も自然の一部と考え、輪廻転生、宇宙の波動に同調する修行を課していたとか…
修験道を語る上で貴重な資料です。一度足を運んでぜひ宇宙の縮図に触れてみてください。
親子で遊べる自然公園
敷地内には、岩屋権現に隣接し遊具設備があるのもうれしいところ。
境内のお参りの帰りに寄って遊ぶのはもちろん、トイレや水場を備えているので、自然を満喫しながらゆっくりと楽しむことができます。
ちょっとした遊具もあり、キャッチボールやバドミントンで軽く汗を流す程度の運動ができるスペースもあります。
水場を活用したバーベキューで訪れる家族づれも多く、帰り道には「ほうじょう温泉 ふじの湯」もあり、余暇の過ごし方には最適です。
神話にも登場する岩屋岩窟
岩屋の岩窟とその東にある田川市夏吉岩屋の岩窟には、『日本書紀』景行天皇紀に記されている麻剝(あさはぎ)という賊が住んでいたのではないかと推定されている。
伊方小学校の北側にある伊方古墳は、約千四百年前の古墳時代後期の円墳で、田川地域では最大規模のものであるが、前記の麻剝や耳垂(みみたれ)などの賊を退治する際に功労があったという豊前の女酋・神夏磯姫(かみなつそのひめ)の墳墓か、もしくは磐井の乱の討伐に功があった田川郡の郡司金田麿の墳墓ではないかといわれている。
福智町から田川市の一帯にかけて広がっている岩屋という地、知る人ぞしるパワースポットでもある。
コメント
[…] 方城スカイラインの周辺には、岩屋権現というパワースポットがあります。こちらには、梵字や曼荼羅、銘文が福岡県指定史跡、大杉が県指定の天然記念物があります。山伏たちの修行の跡を偲ぶ文化遺産です。 […]