棚田の景観美 安宅の彼岸花まつり その中止から感じたこと

安宅の棚田彼岸花 Blog 筑豊見聞録
安宅の棚田彼岸花

この記事でわかること

  • 2015年撮影の景観美
  • 獣害による開催中止という現実
  • 山を資源として活かす未来へ
  • 安宅の棚田が持つ景観的・文化的価値

20日におこなわれた川崎町の安宅の棚田、「彼岸花まつり」より癒される景観美をみなさんにお届け。彼岸花の美しい便りもう少したのしめますよ^ ^

ご興味のある方、お急ぎ下さいね〜^_^

2015年撮影の景観美

2015年撮影のこのときは、写真のような見事な景観がたのしめました。

しかし、昨年は獣害(シカなどによって彼岸花の球根が食べ荒らされた)によって、開催できなかったと聞きます。残念であると同時に、山に生息する野生動物の生態系が大きく変化していることに、危惧を感じる出来事になりました。

獣害による開催中止という現実

地元の人々は今後どのような対応をすべきか、と苦慮していると聞きます。なんとも惜しまれるところや、山の生態系の変化が大きく影響によって農業をもとに暮らす人々の暮らしや将来に不安材料ともなることを考えれば、何か解決策はないものかと考えるところもあります。

2009年から続けられてきた「彼岸花まつり」、少なからず好評でシーズン中は賑わいがあったため、本当に惜しまれます。田舎での暮らしを存続させていくには、この獣害という課題に真摯に向き合わねばならないと思います。

撮影していた時はこんなことが起こるとはまったく思っていませんでした。自然との共生を考えさせられるひとつの出来事として、書き残しておきたいと思います。

山を資源として活かす未来へ

筑豊で今後暮らしていくには、山を資源、資本ととらえなければいけないかもしれません。

獣害に対する対応については、ジビエ料理などでの活用も本格的に取り組むべき課題ともなってきます。

また、放置された山林や竹林は、自然の驚異となって付近に暮らす人々に襲い掛かる時もあります。そうならないために、むしろ山を資源、資本ととらえ有効活用し、自分たちの暮らしに恩恵となるような仕組みづくりが必要なのかもしれません。

その仕組みに、都市部から田舎暮らしに興味がある人たちへのアプローチ、現役世代にとっては自家用車とインターネット環境さえあれば十分な暮らしができるというPRをすることができればと思います。

里山資本主義という言葉もちらほらと耳にするようになりました。都市部での暮らしもリスクと感じる人も多くなってきた昨今、田舎ぐらしのPRはこれからかもしれません。

安宅の棚田が持つ景観的・文化的価値

川崎町安宅の棚田は、筑豊地域における棚田景観の貴重な事例だ。棚田は平地が少ない山間地で先人たちが水稲栽培のために切り開いた農業の知恵の結晶であり、その段々とした地形が生み出す独特の美しさは、日本の農村文化の象徴とも言える。秋の彼岸花が棚田の畦を真っ赤に染め上げる光景は、日本の原風景そのものだ。農業が単に食料を生産するだけでなく、こうした美しい景観を作り出してきたという事実は、農の営みへの敬意を新たにさせる。

彼岸花(ヒガンバナ)は、実はモグラやネズミが嫌う毒成分を持つため、昔から田畑の畦道に植えられてきた実用的な植物だ。食料を守るための先人の知恵が、結果として美しい秋の景観を生み出してきた。シカなどによる獣害で球根が食べ荒らされたという近年の出来事は、自然の生態系の変化が日本の農村の景観文化をも変えてしまうことを示す、深刻なシグナルとも言えるだろう。

川崎町と筑豊の農山村の未来を考える

獣害問題は安宅の棚田だけの話ではなく、筑豊全域の中山間地域が直面する共通の課題だ。農業を続けることを困難にする状況は、農村の景観を守ることの難しさと直結している。一方で、こうした地域の食文化や自然資源を活かすジビエ料理への取り組みや、農業体験ツーリズムなどの新しい試みも各地で始まっている。山の恵みを資源として捉え直し、人と自然が共生する新しいかたちを模索する動きが、筑豊の農山村には生まれつつある。

2009年から続いてきた「彼岸花まつり」が中止を余儀なくされたという出来事は、地域の祭りがどれほど多くの人の努力と自然の恵みの上に成り立っているかを改めて気づかせてくれた。地域の景観を守ることは、そこで暮らす人々の生活と文化を守ることでもある。川崎町安宅の棚田と彼岸花が再び賑わいを取り戻す日を願いながら、筑豊百景プロジェクトはこの景観の美しさと、それを守る人々の思いを記録し続けていきたい。


この記事を書いた人

松浦幸市(筑豊百景プロジェクト・経営コンサルタント)

中学高校社会科教職員免許・学芸員資格保有。福岡県田川郡福智町を拠点に、2020年より筑豊地方を中心に現地取材を重ね、訪問した事業所・文化施設は延べ100件以上。一次情報にもとづく筑豊の歴史・文化を専門的な知見で発信し続けている。

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