『青春の門』に登場する香春岳


 
 田川郡香春町にある、町名の由来となった香春岳は珍しい光景です。
 
 五木寛之の『青春の門』にも登場し、その威容が取り上げられています。写真は、現在の香春岳です。写真向かって右から、一の岳、ニの岳、三の岳と呼ばれております。
 きづく方も多いのではないでしょうか。一の岳は山頂が不自然に平らです。
 香春岳は、明治から始まった石灰採掘のため、一の岳を中心としてこれまでに山容を大きく変化させました。本来は二の岳より標高の高い一の岳がありました。古い写真によりそれが確認できますが、今はご覧のとおりです。昭和初期頃周囲には新工場や社宅等がひしめき、セメント産業の町として栄えました。
 山の半分以上を長い年月をかけて掘削してきた人々の歴史を感じさせます。また、今も稼働しているセメント工場と合わせ、独特の景観を私たちに愉しませてくれます。いにしえには霊峰とか神山とされた香春岳ですが、姿は変わっても人々に何かを与えてくれる、いわば筑豊の象徴のひとつです。

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