井筒和幸監督新作映画、山口吉隆(軍鶏SHA・MO・)さんとともに

Blog 筑豊見聞録

井筒和幸監督(代表作『岸和田少年愚連隊』、『二代目はクリスチャン』など)が、直方市出身のアーティスト軍鶏SHA・MO・ボーカルの山口吉隆さんが作詞作曲した「彦山川~あったかい瞳のかあちゃん~」をもと、筑豊を題材とした映画の制作が計画され、そのことで赤松嘉麻市長に協力を依頼したという記事が、西日本新聞(6月22日付朝刊)筑豊版に寄せられていた。どんな作品になるのか気なるところだが、それよりもこのふたりの人物の人となりを調べてみました。どんな作品になるのか、みなさんのイメージにつながれば幸いです。

井筒監督の映画製作に対する思い

井筒和幸監督は、1952年生まれの67歳で、奈良県出身。代表作からみてもわかるかもしれないが、日本社会をいろいろな角度からフィルム化してきた。『岸和田少年愚連隊』(1996年公開)では関西出身の感性を活かして、大阪の雰囲気を生々しくファインダー内に表現している。喧嘩に明け暮れるボンクラ学生の心境を描いた作品で、キャストにはナインティナインの二人(岡村隆史、矢部浩之)をはじめ、まだ今のようにメジャーではなかった宮迫博之(雨上がり決死隊)、吉田敬(ブラックマヨネーズ)などの吉本興業のお笑い芸人たちを迎え、岸和田でロケをおこなった。

一方、『二代目はクリスチャン』(1985年公開)には、志穂美悦子、柄本明、岩城滉一といった名俳優を揃えてみたり、『パッチギ!』(2005年公開)では日本人の少年と在日朝鮮人の少女との間に芽生えた恋愛を描いてみたりと、日本社会の1シーンを情緒的に、一方で活発に動と静を描き出す監督として知られる。

最近では監督自身が集大成という『無頼』(今春公開予定だったが、12月にコロナ禍の影響により延期)が公開予定となっている。こちらは、昭和の香りを演出しながら、エリートたちの一方でどろをすするような気概で生きているやくざ者たちを描いている。井筒監督の視線の先には一貫して、社会のあぶれ者、片隅に生きる人たちを鋭く描写するところにある。

「石炭で日本を支えた地域の人々が、時代から取り残されても何とか生きていこうとした気力や底力を描く映画にしたい」とメディアに対して語った意気込みからもその思いが感じられる。

筑豊に生まれ育った山口さんの思いとは?

1974年に直方市で生まれた山口さんは、今年でデビュー20周年となるキャリアを持つ。故郷を離れ芸能活動をするも、ふるさとへの思いは彼のオフィシャルブログからもからもにじみ出ている。上の動画に演出されているような少年時代を過ごしたようで、この地に暮らす人たちにとっては親近感や馴染みを覚える人も少なくないかもしれない。

昭和から平成のはじめごろまで、ここ筑豊で過ごしたことが彼にとっては大きな財産とでも言わんばかりに感じられる。脱炭鉱と言われながらも、基幹産業の伸展もこれに代わるような目ぼしいものは生まれず、どこか息苦しくも必死で生きていこうとしていたという思いが伝わってくる。必死で生きてきた思いが結実し、今の自分がある。それはふるさとへの恩返しという思いへとつながり、今回の映画製作へと発展してきたのかもしれない。

山口さんの情報がやや少ないため、調べながら感じたことを記してみましたが、本人の思いとズレがなければと思います。

地方発ご当地モノ映画の難しさ

最近、地域や田舎に活気をという思いで、数々の映画が生まれている。誰がメガホンを取るのか、キャストは誰かという部分もさることながら、題材としている地域の特徴をとらえ、そこからみる人々に共感を与える。ここをしっかりと伝えていくことが難しい。一時期は話題となっても、製作側の意図するところがぼやけていたり、中途半端だったりすると、見る人に伝わる部分も少なくなってしまうことも。
今回の映画製作、山口さんの思いを受け井筒監督の視線から、どんな筑豊が描き出されるかが見どころになるだろう。それによっては多くの人々に伝わるメッセージ性の高い作品になる可能性も秘めている。それはお二人から感じられる強い思いが感じられるから。企画やキャストもまだ発表されていないため、今後の動向も気になるところだが、地域の人たちが何かしら共感を呼び、地域の活力となってくれることを期待したい。

コメント

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