福岡県田川郡福智町にある興国寺(こうこくじ)は、国登録有形文化財に指定された本堂と山門・袖塀を有する、歴史と伝説が息づく寺院です。
南北朝時代の武将・足利尊氏との深いゆかりを持ち、安国寺第一位として全国的にも貴重な存在。地域の誇りであり、歴史ファンや文化財好きにもおすすめのスポットです。

静寂の山里に、歴史の鼓動が響く
福岡県福智町。
現代の喧騒から離れたこの山里に、ひっそりと佇む寺――興国寺。
その門をくぐった瞬間、あなたは時空を超え、700年の歴史ロマンへと誘われます。
この寺は、ただの古刹ではありません。
2024年8月、興国寺の本堂と山門・袖塀が国登録有形文化財として認められ、
日本の歴史に新たな光が当てられました。

足利尊氏、運命の岐路と興国寺
南北朝の戦乱のただ中――
若き日の足利尊氏は、朝敵とされ、命を狙われる身となります。
絶望の淵で彼が身を隠し、再起を誓った場所こそ、福智町の興国寺でした。
尊氏はここで髪を下ろし、仏に赦しを請い、
やがて「安国寺」を全国に建立するという大いなる祈りを捧げます。
その第一号が、まさにこの興国寺。
ここから、室町幕府という新たな時代が動き出したのです。
興国寺の創建はなんと7世紀後半と伝えられていますが、歴史の舞台に大きく登場するのは南北朝時代。天下分け目の争乱のなか、足利尊氏は「国家安泰」を願い、全国に安国寺という祈願寺を建立。その第一号が、ここ福智町の興国寺

伝説が息づく寺――文化財とロマン
興国寺の境内には、以下のような数々の伝説が今も語り継がれています。


- 隠れ穴
追っ手から逃れた尊氏が身を潜めたと伝わる「隠れ穴」。静かな境内の一角に、今もその跡がひっそりと残っています。 - 墨染桜
尊氏が戦の行方を占うため、桜の枝を切り落とし、逆さに土へ刺したという「墨染桜」。その桜は、まるで歴史の証人のように語り継がれています。 - 馬蹄石
尊氏の愛馬が残したとされる「馬蹄石」も境内に。 - 千手観音
尊氏の守り本尊と伝わる千手観音像は、年に一度だけ(11月第2日曜日)、観音大祭でご開帳される特別な存在です。
本堂と山門・袖塀は、国登録有形文化財としてその美しさと重厚さを誇り、
千手観音像や無隠元晦禅師の座像など、寺宝も数多く残されています。
それぞれの文化財が、訪れる人の心に歴史の鼓動を響かせてくれるでしょう。


今も続く、祈りと歴史の物語
毎年11月の観音大祭には、普段は見られない千手観音像が開帳され、
地域の人々や歴史ファンが集い、静かな熱気に包まれます。
興国寺は、足利尊氏の祈りと決意、
そして日本史の大きな転換点の証人として、
今も福智町の地で、静かに語りかけてくれます。
――あなたも、興国寺で歴史ロマンの旅に出てみませんか?
【アクセス】
福岡県田川郡福智町上野1892
平成筑豊鉄道「赤池駅」から車で約10分


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