天空の社殿「英彦山神宮上宮」 日子の神が座す場所これまでの歴史と今後の展望

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日本三大霊場のひとつ 英彦山

英彦山神宮上宮は「天空の社殿」と称され、日子の神を祀る聖地として古くから英彦山詣でや日本三代修験道の霊峰とされてきました。歴史的風致や四季折々の絶景、社殿再建や地方創生への取り組みなど、未来に向けた文化遺産の活用について考えてみました。

英彦山の始まり

英彦山は、福岡県と大分県の県境にそびえる信仰の山であり、古くから多くの人々の心の拠り所となってきました。

英彦山詣で」や修験道の聖地としても知られ、神聖な空気と神話に包まれた絶景スポットとしても高い評価を集めています。

山頂に鎮座する英彦山神宮上宮は、その圧倒的な存在感から「天空の社殿」と称されており、福岡観光や神社巡りを楽しむ人々にも人気の場所です。

遙か昔から自然と人とがつながり、多くの伝説が息づくこの地は、歴史的風致を感じることができる特別な場所となっています。

日本三大霊場のひとつ 英彦山

上宮創建の歴史

英彦山神宮上宮の創建は古代にまでさかのぼると伝えられており、日子の神がこの地に鎮座したという伝承から、人々の信仰が始まりました。

古来より修験道の拠点として、山伏たちが厳しい修行や祈りを続けてきたことで知られています。この上宮は、険しい山道を登り詣でる「英彦山詣で」の象徴でもあり、信仰の力と人々の情熱によって大切に守られてきました。

上宮の歴史は苦難の連続でした。明徳3年(1392)以降、度重なる火災で社殿は何度も焼失。現在の建物は天保13年(1842)から弘化2年(1845)にかけて、佐賀藩主・鍋島斉正の寄進で再建されたものです。

山頂という過酷な環境での建築・維持は容易ではなく、資材の運搬から建築まで、すべて人力で行われました。社殿は総檜造りの白無垢、鍋島家の家紋や精緻な木彫が随所に施され、荘厳な雰囲気を今に伝えています

長い歴史のなかで幾度も火災や災害に見舞われながらも、地元の奉仕や支援によって復興が重ねられ、未来へつなぐべく大切に受け継がれています。今日もなお、天空の社殿として多くの参拝者が訪れ、歴史と自然、信仰の調和を体感できる神聖な空間です。

改修工事の計画

近年、英彦山神宮上宮では、長い年月を経た建物を維持し、次世代へ貴重な文化財を継承するための改修工事が計画されています。

この工事は、歴史的風致を損なわないよう配慮しつつ、安全性と耐震性を向上させることが目的です。また、観光客や参拝者が安心して訪れられる環境を整備することで、英彦山詣でや神社巡りを支える基盤作りも重視されています。

地元住民や専門家が協力し、英彦山神宮上宮の価値を未来へつなぐための取り組みが進められており、今後の発展にも大きな期待が寄せられています。

総工費は約6億8千万円にのぼる一大プロジェクトです。国が約4億5千万円、県が約7千万円、町と神宮がそれぞれ約8千万円を負担し、残りは寄付で賄われています。工事は令和4年(2022年)9月に着工し、令和7年(2025年)11月の完成を目指して進行中です。

修復工事の最大の難所は、標高1188mの山頂という立地。トラックが通れないため、資材搬入用のモノレールを英彦山野営場から北西尾根ルートに2km設置し、資材や職人を山頂まで運搬しています。

現在の英彦山に伝わるイベントや体験活動

英彦山では、季節ごとに多彩なイベントや体験活動が行われ、訪れる人々を魅了しています。

春には桜や新緑の登山、夏の星空観賞、秋の紅葉狩り、冬の静寂な雪景色など、四季折々の絶景スポットとして楽しむことができます。

また、修験道体験や神職による特別祈願、地元伝統の神楽奉納なども実施されており、日本の歴史や文化、信仰を直に感じることができる場となっています。これらのイベントや体験は、地元の活力となり、英彦山の歴史的風致をさらに豊かに彩っています。

英彦山で楽しめる多彩な体験

四王寺の滝
  • ラベンダー摘み取り体験(英彦山花園)
     毎年初夏に開催されるラベンダー摘み取り体験では、約1500株のラベンダー畑を散策しながら、好きなだけ摘み取ることができます。摘み取ったラベンダーはドライフラワーやスティックに加工でき、香りとともに英彦山の思い出を持ち帰れます1
  • 英彦山がらがら絵付け体験
     800年の歴史を持つ土鈴「英彦山がらがら」の絵付け体験は、財蔵坊で毎月開催。自分だけの土鈴を作りながら、山伏文化や英彦山の歴史に触れられます4
  • 登山・自然散策・雪山体験
     英彦山は四季折々の自然美が魅力。春や秋の登山はもちろん、冬には雪山登山や氷瀑(四王寺の滝)も楽しめ、修験道の歴史を体感しながら非日常の絶景に出会えます2 3
  • 朝のおつとめ体験(英彦山神宮)
     英彦山神宮では、早朝の「おつとめ体験」も人気。神聖な空気の中で心を整え、日本文化の奥深さを実感できます11
  • 森づくり・植栽ボランティア
     山頂の広葉樹林再生を目指す「鎮守の森プロジェクト」では、登山者や地元住民が協力して植樹や保全活動を行っています。英彦山の自然を守り、次世代へとつなげる大切な取り組みです5 9

地方創生に向けた今後の活用と展望

英彦山神宮上宮を中心とした地域は、地方創生を創造する可能性にも満ちています。

豊かな自然や歴史、信仰を活かした観光資源の開発や、地域ブランドの強化など、「未来へつなぐ」持続可能な活用が模索されています。

絶景スポットや体験型観光の充実、歴史的風致を生かした街づくりによって、国内外からの観光客誘致や若い世代の定住促進にも力を入れています。

今後も地元住民、行政、企業が連携し、英彦山神宮上宮の魅力をより多くの人へ発信し、地方全体の活性化につなげていく姿勢が求められています。

北岳 望雲台

「英彦山ブランド」への展望

英彦山の「奇跡」は、自然と歴史、そして人の営みが調和していることにあります。今後も、

  • 体験型観光の充実
  • 地域住民と来訪者の交流拡大
  • 森林再生や環境保全活動の推進
  • 若者や移住者を巻き込んだ新たなコミュニティづくり
  • 地元産品や伝統工芸のブランド化

などを通じて、過疎化が進む地域に新たな活力がもたらされるでしょう。英彦山での感動体験が、地域の未来を切り拓く原動力となることを期待しています。

体験を通じて生まれる地域の活気

これらの体験は、単なる観光にとどまりません。英彦山ならではの自然や文化に触れることで、訪れる人と地域の人々が交流し、地域の誇りや愛着が育まれています。

特に、伝統行事や体験プログラムの充実、ガイドボランティアの活動、地元食材を使ったグルメ開発など、住民自らが参画することで「住民の誇り」と「新たな雇用・収入」が生まれています12 8

また、BRT(バス高速輸送システム)の開業や観光周遊ルートの整備、英彦山ブランドを核とした地域ブランディングの推進により、地域外からの交流人口も増加。これがリピーターや移住者の増加、若い世代の定住促進にもつながっています7 8 10

元々英彦山は、自然と歴史に溢れる観光資源に満ちている。ふさわしいマーケティングやブランド育成を目指すことで、新たな活気が生み出される可能性もあります。その如何も今後人々があらためて英彦山の魅力にふれ、それをしっかりと伝えていくことが大きなカギと言えるのではないでしょうか?

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