陶芸ファンの間でにわかに話題になっている新感覚上野焼。その技術、デザイン、造形美を活かして新たな作陶を目指している八幡窯の世良彰彦さん。ここでは、最近コンセプトとして確立した「陶芸美空間」について、そのポイントをまとめています。
新感覚上野焼とは?
上野焼本来のスタイル
本来上野焼は、桃山時代、茶道が大流行し大名たちの茶器を提供するために生まれた福岡県の上野焼は、400年の歴史を持つ経産省認定の伝統工芸。
つまり、「茶陶」であり「伝統工芸」というスタイル。
現在、20数軒の窯元で受け継がれている上野焼。
上野焼は、茶陶という本流を守りながらも、時代のニーズとともに様々なバリエーションが生まれ、多種多様な陶器があります。
陶芸によるアート作品を
この中にあって、美術という側面から陶芸の技を追求していくスタイルが「新感覚上野焼」です。
精緻さ、緻密さ、使い勝手や発色の技法など、作る上で技術が問われる伝統工芸に対し、美術品を作るという造形美、デザイン性など、陶芸が創造する美術という部分に主眼がおかれているのです。
陶芸美空間というコンセプト
一点の作品にデザイン意匠を練り上げ、一つの様式を表出する。日用品である食器や酒器には一つの世界観が表現されます。
こうした技術を大型作品に応用し、オリジナルの造形と紋様の配置によって、空間を彩り癒しを与えることをコンセプトにしたのが「陶芸美空間」
持つ人の生活空間を華やかで、明るく多彩な色彩とともに、生き生きとした紋様によって、日々に癒しを与えることが作陶の大きな目的。このために八幡窯では日々研鑽、試行錯誤しています。
当主世良彰彦さんは、癌との闘病生活にありながらも、人々の暮らしを陶芸から彩りある癒しの空間を演出することにつながっていければと作陶を続けています。
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