ドキュメンタリー竹林は宝 〜竹チップ・パウダーの土壌改良〜

竹パウダー混入土で生育したトマトの根の方が大きい Blog 地方創生企業力
トマトの根の違い

前回紹介(ドキュメンタリー廃材を資源に変えて 竹チップ・パウダー)した竹チップ・パウダーの多様な活用方法の中でも、今回は農業用の土壌改良剤として使うケースについてお話します。伐採したものの使わなければただの廃材、その秘密を知ることで驚くような効果を生み出します。ぜひ参考にしてみてください。

竹林の生育環境

竹林が生育する自然環境は、実は多くの細菌が生息する場所。竹は地下茎から地中の水分を吸収することで大きく成長する。このなかで吸収された水の中に、多くの細菌が含まれることになる。その中でも竹の内部環境を好むのがバクテリア類

竹の多孔性(顕微鏡写真)

顕微鏡の写真でみるとおわかりのとおり、竹の内部は水分を吸収するためのたくさんの孔があり、これによって水分が吸収される。それと同時にバクテリア類もこの小さな穴を好み住み着くようになる。これが竹炭の消臭効果や浄化作用に効果が高いと言われる由縁です。

細菌類が自然発酵、新たなパワーへ

竹をチップ・パウダー化することで、菌類の自然発酵を促す環境へと変わる。この時、その粒子は小さければ小さいほど多くの細菌類が繁殖すると言われる。その主だった細菌とは乳酸菌

孔内で繁殖するバクテリア

話は変わるが、もともとパンダは肉食だったとされ、氷河期に食となる動物がいなくなり竹や笹などを食するようになった。この時厳しい環境の中でも生きる活力となったのが、竹に含まれていた乳酸菌ではないかと意見する人もいる。

乳酸菌はご存知の人も多いが、善玉菌を活性化させる一方で悪玉菌を抑制する働きがある。これを知ることで、竹には乳酸菌という活性資源に満ちていることが理解できる。(私たちにとってのヤクルトみたいな存在だ)

乳酸菌パワーを農場へ

空気と遮断された環境で放置された竹チップ・パウダーを、そのまま農場に散布すると、土中のミミズなどの微生物を活性化させる。活性化した土中に根を張る野菜や果物などは、良好な生育が保たれる。農業試験場や大学などの研究機関によりその活用例が研究対象にされるほど注目度が高い

例えば、北九州市立総合農事センターの報告に興味深いものがある。それは『トマト、大葉しゅんぎくにおける竹パウダー施用試験』というもので、それぞれの野菜が竹パウダー、チップを土壌改良剤として混入させたものと、普段と変わらない土壌から栽培されたものの出来高を比較した内容。

竹パウダー区 竹 チ ッ プ 区 慣 行 区
外  観3.422.333.50
食  感3.503.083.33
甘  味3.252.583.08
酸  味3.502.922.92
旨  味3.253.083.25
総合評価3.502.753.33
令和2年度トマト、大葉しゅんぎくにおける竹パウダー施用試験より転載

これによれば、生育状況と食味検査、地下部(根)重量の測定をおこなった結果、生育状況に大差はないものの、食味検査や地下部重量がパウダー、チップを混入させたものの方が高い数値を示したという。

分析方法に課題は残るが、今後の農業に明るい展望が描ける結論となっている。興味のある方は、リンク先をご確認⇨

令和2年度トマト、大葉しゅんぎくにおける竹パウダー施用試験

これ以外にも多くの報告や研究成果があり、竹パウダーやチップの土壌改良剤としての効果がにわかに注目されていることがわかる。

肥料とは違い、畑の土壌そのものを肥沃な体質に改善することで、作物の生育に大きな影響を与えるのです。確かにチップ・パウダー化するという一手間が必要だが、化学肥料を散布するより環境に配慮した農業を実現することにつながります。

土壌改良材 竹チップ・パウダーのより良い使い方

本来の作物の生育状況がみられなくなった…

このように感じられる農家の方には一度試していただきたいのが、竹チップ、パウダーによる畑の土壌改良です。

この記事を読んで、もし竹チップやパウダーで土壌改良をと検討している場合、一反(約1,000㎡)あたり50〜70kg、1㎡あたり50〜70gを畑の土壌にすき込むのがふさわしいと言われています。

植物栽培の使用時期は、種まきの1週間前や追加肥料時期、冬場の土づくりの時期に竹チップやパウダーをすき込むことをお勧めします。

竹チップの発酵時間は100日以上。竹パウダーは20日程度で分解すると一般的に言われます。この辺の使い分けは、栽培する品種によってどちらがふさわしいかの検討が必要だと思います。

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