井筒和幸監督が描く筑豊って?ご当地映画のあらたな可能性を探る

Blog 筑豊見聞録
原案となった軍鶏SHA・MO・の山口吉隆さんが作曲した「彦山川」

井筒和幸監督(代表作『岸和田少年愚連隊』、『二代目はクリスチャン』など)が製作に意気込みをみせている、筑豊をテーマにしたご当地映画、その具体的な動きとして「九州人オーディション」が発表されました。来年春の公開に向けて早いテンポでの滑り出しだが、その内容はどんなものになるでしょう。

ここでは作品に対するイメージと、これからますます多くなるであろう「ご当地映画」の可能性をまとめてみたいと思います。

九州人オーディション

8月11日田川市のホームページに、井筒和幸監督新作映画 出演者オーディションを開催します!と告知がありました。

それによると、公開予定と映画のストーリー、オーディションの日程と配役の募集についてが記されています。

気になるのはやはりストーリー

日本最大の炭鉱地だった筑豊には川筋者と言われる男達が炭鉱を仕切っていた。1970年のエネルギー革命で、筑豊の炭鉱は閉山に追い込まれていく。1990年になり栄華の跡は消え、荒涼とした静かな田舎町になっていた。川筋気質の主人公ヨシは、仲間達とバイクで夜の町を暴走。その傍らヒップホップダンスの世界にも憧れ、昼はダンス、夜は暴走という青春時代を過ごしていた。気性は荒く、人の情に厚い若者達が、喧嘩に明け暮れ、それでも未来を信じ、夢を追い求め東京に出て行く青春グラフィティ。(以上田川市HPより引用)

そして、配役募集の項目は、8つのポストが設定され、プロ、アマ問わず広く募集している。こうした配役には、筑豊弁を自然に口ずさんで役作りができる人材を求めているようです。

先のストーリーとともに、その昔相次ぐ炭坑の閉山で、かなり寂しさを呈していたこの地域の様子を、方言をふんだんに盛り込み、当時の人々の心情とともにリアルに描写しようという井筒監督の思惑があるものとみられます。

出典元:シネマ速報

ご当地映画の可能性

近年になって全国各地で取組んでいるご当地映画、自治体によっては、町おこしや観光振興、交流人口の増進を目的に、補助金を制作会社へ供出するところも。

先進的な事例としては、2016年に公開、大ヒットした『君の名は』で、これにともなう経済効果は100億円以上とも言われています。

舞台となった岐阜県飛騨市では、アニメ舞台の「聖地巡礼」によって、興行収入以外のところで街に注目と活気が集まったという。

世界的にみても、映画ロケ地を誘致することで観光客流入増を見込んで積極的な地域もあるようです。こうしたことを受け、観光立国を目指している国は、文化庁などが助成金の制度を設けており、参入への負担軽減策を図っているようです。

経済活動という一方で、忘れてはならない地域振興策として、製作から主演の俳優を地域の人々や企業団体を活用できる仕組みへとつなげ、地場産業の新規育成や雇用促進などを見越した取組とすべきところはあります。

文化振興を通して、ご当地の魅力や名所、あるいは個性、インパクトの強い人材輩出など、ご当地映画というのであれば、地元を活用した「○○○産」というネームバリューづくりも長期的な目標となるでしょう。

例えば、筑豊御三家をテーマとしたドキュメンタリー映像を企画し、伊藤伝右衛門邸炭坑関係の産業遺産を舞台にロケ地設定してみることなど。

筑豊らしい鮮烈なイメージや川筋気質を脚本化して演出し、アクションも織り交ぜた映画を目指しつつ、炭坑を知らない世代に対するメッセージや歴史教育の一環として活用し、かつ他地域に対しては筑豊地方のPR映像としてもできるようにする。

企画や製作の方向によっては、今までになかった筑豊のイメージが映画の中で描けるかもしれません。

麻生副総理の曽祖父にあたる麻生太吉は、筑豊御三家のひとり。ドラマ化や映画化という企画の中、話題となる可能性があります。そうなれば「知らなかった筑豊」とともに、現代の筑豊がクローズアップされるかもしれません。

青写真をごく簡単に描いてみましたが、こう考えるといろいろな可能性が出てくるのが、ご当地映画のメリットかもしれません。もちろん、企画の再現性や採算についての予測など、現実的な問題もありますが…

じわりじわりと動き始めたこの分野、これからの行く末も期待が持てるようにしたいですね。

まずは、このたびの井筒監督の映画が、人々の心に伝わる感動のストーリーとなることを期待しましょう。田舎独特の人情、ストレートな感情表現が、観る人々の感動を呼び起こすことを願いつつ。

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