筑豊県立自然公園

​筑豊県立自然公園の一部ロマンスが丘からみた田川地域の夜景(撮影Satoshi Nagano) ​

 県立自然公園とは、都道府県知事が指定するもの。これも意外と知られていない。

 福岡県にもいくつか自然公園がある。このうちここで紹介するのは、筑豊県立自然公園。指定されたのは、昭和25年5月13日。関係する市町村は、北九州市、行橋市、直方市、田川市、福智町、香春町、苅田町、みやこ町、築上町、赤村とある。(福岡県のホームページより)

 福岡県ホームページ 福岡県の自然公園⇒http://www.pref.fukuoka.lg.jp/c02/naturalpark01.html

 それでは福岡県を代表する筑豊の自然遺産の数々をみていこう。

 福智山は、福智山系最高峰の山岳として親しまれており、福智山(標高900.8m)でこの付近で直方市と田川郡福智町の境界をなしている。ちなみに、田川郡福智町は旧赤池、方城、金田の三町が合併して生まれた新しい町で、町名は福智山に由来する。直方市と福智町は、その一部が筑豊県立自然公園となっているのである。

福智山山頂付近

 福智山は、皿倉山から香春岳にかけて連なる福智山系の最高峰として、登山愛好家をはじめ人々の歩みが絶えない場所だ。カルスト台地として知られる平尾台も福智山系の中にあることはあまり知られていないが、北九州国定公園には平尾台や皿倉山とともに福智山もその範囲にある

(詳細はコチラからhttp://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kitakyushu.html) 

福智山系の山々

 ちなみに、平尾台といえば鍾乳洞が有名だが、田川地域でも鍾乳洞を見学できる。田川市にある岩屋鍾乳洞(福岡県指定天然記念物)がこれ。また、ロマンスヶ丘と呼び名のあるカルスト台地も田川市にある。

 同じ福智山系として扱われることは、北九州から田川北東部にかけて同じ地質(結晶岩質石灰岩)であるため。つまり、福智山系は、独特の特徴を市町村の枠を超え共有している。香春岳のセメント、石灰はこの地質を利用して発展してきた。

岩屋鍾乳洞(田川市)

この山系は、古くから山伏たち修験者が足跡を残した歴史がある。周辺にある岩屋権現はその象徴です。岩壁に刻まれた梵字、曼荼羅、銘文は、大杉とともに福岡県の指定文化財で、県内でも貴重な存在だ。

 上野登山口からは、白糸の滝、上野越、白雲ライン・鷹取ルートという3つのルートが福智山山頂にむかってのびている。一部急な傾斜や岩場がありますが、いずれも比較的距離も短く、親しみやすい。

 ここでおススメしたい自然遺産が「虎尾桜」。推定樹齢約600年といわれ、エドヒガンの野生種だそうで、福智町指定天然記念物となっている。満開の頃は4月にはいってからが多く、その色合いは表現することができないほどのもの。また、虎尾桜から程ない距離に、「白糸の滝」という名勝もある。滝周辺は、流れ落ちる流水のため夏の猛暑日でも涼しく、避暑地としては最適。マイナスイオンをたっぷりと吸い込んで鋭気を養える。

虎尾桜

鷹取山:福智町

福智山といえば、すぐ近くにある鷹取山を連想する人もいるかもしれない。鷹取山といえば、山城があった場所。標高633mの山頂部を中心として、本丸や空堀などが残っている。主な城主は、黒田節で知られる黒田家の重臣、母里太兵衛友信(ぼりたへえとものぶ)で、隣の小倉藩に睨みをきかせていたという。

 黒田節の主人公母里太兵衛友信とは?⇒http://www.kurodabusi.com/?mode=f2

福智山頂からみた鷹取山

方城スカイライン:福智町

福智町方城地区にあるその名ひっそりとした林道。その名も「方城スカイライン」。

総延長6kmに及ぶ林道で、舗装されているため車での往来もできる。晴れた日の眺望は、福智山や鷹取山の山頂とは一味違う。

 この沿線にある自然遺産の中で、おススメしたいのが紅葉ヶ滝霊場と竜ヶ鼻ノロシ台跡公園です。

方城スカイライン

 紅葉ヶ滝霊場は、その名に示すようにパワースポット。お地蔵さんや不動明王など人々の信仰が寄せられた場所で、夏場でもひんやりし、不思議な空間を演出している。パワースポットでいいエネルギーを吸い込んで、鋭気を養いたい方におススメ。

紅葉ヶ滝霊場

竜ヶ鼻ノロシ台跡公園は、直方、金田など各地から寄せてくる軍勢を監視し、非常時に狼煙をあげて知らせた場所として知られている。興味深いのは、おそらくは当時のものであろう石組みがそのまま残っており、歴史を実感させられる。電話などの通信手段のない戦国時代には、さぞ活用されていたのではなかろうか。狼煙をあげる場所とあって、田川地域を一望できるビュースポットである。

竜ヶ鼻ノシロ台跡公園

香春岳:香春町

 こちらをご参考に⇒白ダイヤ もう一つの鉱石

昭和初期の香春岳

大坂山:香春町・赤村

田川地域には、香春町と赤村の境界となっている飯岳山(大坂山)がある。飯岳山といわれてもピンとこない、むしろ大坂山という名前の方が親しみあるという方も多いかもしれない。

「大坂」といえば阪神地方の中心地を思い出す人も多いでしょう。しかし、「大坂」という地名は、日本各地にあります。

 郵便番号表に見るだけでも、北は福島県二本松市から南は徳島県板野町まで8カ所あるそうだ。これ以外にも郵便番号には載せられていない地名として、「大坂」という名称は全国各地に数えきれない。

 仲哀峠から呉川眼鏡橋、呉平中雪穴を経て九州自然歩道は、香春町と赤村、そして京都郡みやこ町の境界となる大坂山(飯岳山)にいたる。

赤村側からみた大坂山

この大坂山は、意外と古い歴史があるのはあまり知られていない。

 『橘為仲朝臣集(たちばなためなかあそんしゅう)』というものがある。この橘為仲という人物は、京の中流貴族だった。その為仲が任国に受領(「ずりょう」と読み、地方官)として赴く際に記した和歌集が、先述のもの。

 これには、豊前方面から太宰府を目指して大坂を越える時、為仲が歌をしたためたことが記されている。つまり、当時の貴族も通る程の主要交通路が大坂峠だったということがわかる。

 全国に残る「大坂」という地名は、「逢う坂」という言い方が転化したと考える専門家もいる。つまり、国の異なる者どうしが待ち合わせる場所として、「逢う坂」といわれ境界として位置づけられたのでは。

 ちなみに旧道は、写真のように今も人が往来できます。

大坂峠の旧道

清流と緑の秘境、赤村へ

 福智山や香春岳、大坂山などを経由し赤村へといたる。赤村は筑豊地方では唯一の村、そして福岡県には東峰村とともに2つしかない村の一つ。緑豊かな景観に囲まれた環境は、筑豊の秘境とも言うべき存在で、癒しを求め福岡、北九州からの都市圏から人々がやってくる。

その赤村で九州自然歩道の沿線にある自然遺産で印象深いのは棚田のある景観。自然との共生によって育まれたその様子からは、人々が生きるために工夫と努力、ときに苦難を乗り越えながらも現代まで受け継がれたドラマが感じられる。赤村には見取、後山、大伊良の3地区で棚田がみられるが、どれだけの人々が関り、どれくらいの苦労があったのだろうか。

見取の棚田

 棚田を過ぎて山へ入り始めていくと琴弾の滝、大音の滝という名勝にたどり着く。このうち琴弾の滝には言い伝えがある。それは今から1,300年ほど前のこと。時の天皇である天智天皇が、朝鮮半島での敗戦に肩を落としていた時、この滝を訪れたという。その際傷心の天皇の御心を慰めるべく、天から琴を持った天女が舞い降りたと。これが琴弾の滝の由来となっている。

琴弾の滝、大音の滝を経てさらに山道を進むと、犢牛岳(「こっといだけ」標高690.4m)へ。特牛岳は赤村ではもっとも高い山で、名前がめずらしい。全国に「特牛」と名づけられた地名は少ない。犢牛岳へは登らずに山腹を迂回するように、隣の添田町津野地区へといたる。

琴弾の滝

英彦山へと続く自然歩道

 以上の自然遺産の数々は、九州自然歩道という遊歩道によって繋がっている。九州自然歩道は、環境省が定めるもので長距離自然歩道構想に基づき整備されている。総延長2,900㎞に及ぶ長大な自然歩道は、九州各県を巡り自然とふれあい癒しを求める人々によって少なからず活用されている。筑豊では直方市の尺岳から始まり、添田町の英彦山へと続いている。

(詳しくはコチラ⇒https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/naturalpark01.html#01_02

油木ダムの水面に写る鷹ノ巣山

 犢牛岳を横目に添田町の津野へ来れば、油木ダムの勇壮な姿を目にする。ここは紅葉の時期には見物客で、そして冬にはワカサギなどを目当てに釣りに来る人々でにぎわう。この油木ダムからさらに登っていくと英彦山へといたる。沿線はまさしく自然遺産の宝庫。歩くもよし、車で巡るのもよし。自然の恵みによる癒しの景観ばかりである。

油木ダムの紅葉
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